最近のエッセイ(81)

2022年3月19日                 でかした、一力

 囲碁の棋聖戦七番勝負の最終戦が昨日行われました。棋聖位の井山裕太の三勝、挑戦者の一力遼の三勝で迎えた最終局です。棋聖戦は読売新聞社の主催によるもので優勝賞金は4500万円。棋譜を独占して自紙に掲載できます。日本国内には囲碁、将棋を趣味とする人が多く、新聞社は全国紙も、ブロック紙も、地方紙も囲碁、将棋欄には昔から神経を使い、読者の囲い込みに血道をあげています。恐らく、各新聞社とも一億から数億の金を囲碁将棋団体に拠出し、棋士たちはそれによって生活しているのが昔からの習わしです。

 棋聖戦は読売新聞の独占で優勝賞金は4500万円。朝日新聞の名人戦は3500万円。毎日新聞は本因坊戦で2800万円。日経は王座戦で1400万円。産経は十段戦で700万。他に新聞三社連合で天元戦1400万円などがあります。

 日本国内では、何故か、将棋人口が囲碁人口の倍ぐらいあるのに、新聞社がかけている金は囲碁の方が倍ぐらい多いという、奇妙な現象があるのですが、それはさておくとして、、、、

 さて、上記の棋戦のうち5冠を独占していた井山裕太に挑んだ若干23歳の一力遼は第一戦、第二戦は勝利したものの、その後、ずるずると負け続け、とうとう三勝三敗で最終戦を迎えたのです。そして、そして、勝利したのです。

 一力遼君は現河北新報社社長の一人息子です。そして、私より2年早く販売局に入社した一力英夫さんの甥でもあります。始まりは遼君のお爺さんが囲碁が強く4歳の孫相手に囲碁を教えたことです。東京の市ヶ谷の日本棋院近くに母親と共に居を移し、院生修行をしましたがなかなか上達しません。その頃です。週刊囲碁の発行で朝日販売網を使ってもらうことになったことから、日本棋院囲碁4段の宮沢、中沢は、多くの棋院の関係者とコンタクトが発生していました。一力さんから頼まれて二人でお願いに行ったこともありました。しかし、遼君はなかなか院生になれません。一方、彼は早稲田大学社会学部にも入学しました。その頃から、彼は頭角を現わし始めました。あれよ、あれよという間にトップにまで上り詰めてしまいました。先週の日曜日には「NHK杯」で高尾紳路を半目差で破り、三連覇を果たしています。

 河北新報の創業者は一力次郎という方です。私が練習生として販売担当員助手で千葉県を受け持った時、真ん前の机には埼玉県を一人で担当する一力英夫さんがいました。彼が北関東担当部長の時、次長として彼が出してくる何だかよく分からない会合費伝票を処理させられました。仙台高校の関係者との会合が多く、井上やすし、樋口陽一、菅原文太などと同席させられました。伝票のためです。しかし、文太さんにはあちこちで行われた新聞従業員の会には、度々、お出ましいただきました。黙って、突っ立ているだけで格好良かったですね。

 一力英夫さんとの半生のお付き合いの中で、私が感じたのは「一力家の血には何かある!」という事でした。一力遼はそれを見事に証明してくれました。一方、先代の社長は、つまり遼君のお爺さんは全くの廃人になり、宮城県のどこかに、人知れず、秘かに隔離されている、と仄聞します。

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2022年3月18日        食の宝庫・築地界隈

 またまた、昔の話になりますが、職場が有楽町から築地に移ってよかったことの筆頭は、昼飯の選択の幅が広がったことでしょうか。新社屋の8階には社員食堂や喫茶室、売店、書店、理髪室など完備しているにも拘わらず、外に出て食事をしていました。目の前が魚河岸の場内、隣が場外。魚河岸のあんちゃんたちが朝食を摂る安くて旨くて感じのいい店が数多くありました。一度しか入ったことはありませんが、かの有名な「吉兆」は朝日社屋から一分ほど先にありました。「金田中」、芥川賞・直木賞の選考が行なわれる「新喜楽」もご近所でした。客人があるとお連れしたのが、吉兆の並びの鰻の「竹葉亭」です。寿司にする場合は「江戸銀」のカウンターでした。私が6年間在籍したビルの地階は飲食街で最上階は大きな中華レストランでした。どういうものか、客人、友人と一緒の場合以外は、私は歩いて築地本願寺の先を曲がり、聖路加病院近くのツインビルの屋上へ行って昼食を摂っていました。ツインビルの一つは聖路加が年配者用のマンションに使い、もう一方は九州石油と電通が使っていました。エレベーターを三回乗り換えて辿り着く屋上に飲み放題、食べ放題の小さなレストランがありました。ベランダに出ると富士山はもとより、房総半島、秩父の山々まで見渡せました。高所恐怖症の私ではありましたが、そこで浩然の気を養い、仕事場に戻っていました。時にはこのビルの近くの「中西」という鰻屋にも立ち寄りました。特大のかば焼きのうな重が、確か、1500円でした。

 食の宝庫、築地界隈が懐かしく思い返されてなりません。なぜなら、今住んでいる練馬界隈には、「これ」というお店が全くないからです。 

 
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2022年3月17日           地 震

 昨夜11時半ごろでしたか、ベッドに入ってIPADと戯れていると急に家がきしみ、揺れ出しました。「すわ、地震!」、、、一旦収まって、再び本格的に揺れだしました。かなり、大きな揺れです。大変だ、東京直下型地震か?と身構えましたが、起きてウロウロしてみたところで、どうにもなりません。その内、収まりました。早速、IPADを括ってみると震源は宮城、福島県沖で震度は6強。津波は発生しましたが、およそ3メートル。両県の海添いの人々は10年前の再来か、と身構えたことでしょう。でも、東北新幹線が脱線しました。停電が各地で起きました。岩手、宮城、福島の皆さんは、さぞかし、大きく胸を撫でおろしたことでしょう。

 今回はこれで済んだものの、近い将来、必ず起きると言われているのが、南海トラフ地震と、東京直下型地震です。ことによると、昨晩の地震は、その前触れであるかもしれません。願わくは、私が生きているもうしばらくの間は、何んとか起きないでもらいたい、と虫の良いことを考えながら、いつの間にか寝入っていました。  

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2022年3月16日      ロシア・国営放送女性社員の勇気

  昨日、ロシアの国営放送で事件が起きました。ニュース番組を放送中、突然、戦争反対と書かれた紙を掲げて、一人の女性が画面に現れたのです。その女性の名は「マリナ・オシャニコフ」さん。同国営放送の社員の一人です。私の父はロシア人で母はウクライナ人です。この戦争はプーチンが起こしたもので、国民が望んだものではありません。私は社員の一人として、間違った放送を続けることに、もう、耐えられません。と言い放ちました。

 何と、勇気のある行動でしょうか! 国営放送の女性社員までもが、プーチン一人が悪い、この戦争は間違っていると、テレビ画面に出て、国民のすべてに訴えるとは! 恐らく、彼女は厳罰に処されるでしょうが、放送を見ていた多くの国民の心に響いたのではないでしょうか。日夜、激しさを増す戦乱を見ながら、そしてプーチンのやりすぎを、心の中では咎めながら、何も言わずにテレビを見物している多くのロシア国民は、この女性の勇気ある行動をどう見たでしょうか? 

 小さな波紋ではあっても、やっと、ロシア国内で起きた「反プーチン」の波が、これを契機にして、ロシア国内にさざ波のように広がり、忌まわしきこの戦乱が中止に追い込まれるのを望んでいるのは、世界中のほとんどの国民でありましょう。一人のロシア人の若い女性の勇気を讃えましょう。

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ロシア国営放送女性社員の勇気ある
行動は、やがて、燎原の火となるはずです

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2022年3月15日       日野原重明医師    

 朝日新聞社が有楽町の社屋を西武デパートに譲り、築地に新社屋を建てましたが、目の前が築地市場であったので、時に、魚の匂いが漂っていました。通りを挟んで目の前が築地の国立がんセンター。万一、ガンに侵されたたら、職住接近で便利だなあ、と思ったものの、当時お世話になっていたのは、築地の交差点の築地本願寺の少し先を右に曲がったところの聖路加病院でした。院長はかの有名な日野原重明さん。病院内で一度か二度、お目に罹ったことがありました。1911年生まれの彼は、今から5年前の2017年に105歳で亡くなりました。晩年は、車椅子に乗って回診していたそうです。

 特筆すべきは、サリン事件の時の彼の采配ぶりではなかったでしょうか。何故かその朝、地下鉄が動かなかったので銀座から東銀座まで歩いて出社しました。朝日本社ビルの隣の7階を朝日学生新聞社が使っていて、その7階の社長室からは築地の交差点、本願寺、地下鉄の昇降口が丸見えでした。見ると、道路は遮断され地下鉄の入り口付近がごった返していて、担架に乗せられた乗客が運び出されています。後で解ったのは麻原彰晃率いるオウム真理教が地下鉄車内で、猛毒のサリンを撒き、多くの人が不慮の死を遂げ、体調不良に陥った乗客が続出しました。

 物見高い私は行ってみました。既に非常線が張られ、交通が遮断されていましたが、白衣姿の日野原医師が自ら車道に出て、運ばれてくる患者を診て「どこそこへ運べ!」と必死の形相で指示を出しているところでした。

 後の検証によると、サリンが地下鉄車内で撒かれたのは霞が関駅あたりだったらしく、銀座と東銀座で大騒ぎとなり、次の築地で救援活動となったようでした。出勤が10時始まりだからよかったものの、もし、30分早く出ていたら私自身も聖路加病院に担ぎ込まれていたかもしれません。人の運とは奇妙なものです。

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地下鉄サリン事件
     今から25年前の3月20日 死者14名

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2022年3月14日          ロシアという国

 先月24日に勃発したロシアによるウクライナ侵略戦争は、既に二十日を経過しました。停戦交渉は第四回目を迎えましたが、一向に進展の兆しが見えません。首都キエフが落とされるのも、時間の問題となりました。どれだけの両軍の兵士が死んだか、どれだけの難民が発生し、国外に逃れたか、どれだけの無垢な人々が死の恐怖に晒されているか、計り知れません。一方、ロシアに対する世界を揚げての経済制裁は止まるところがありません。苦しんでいるのはロシアの一般国民です。

 すべて、プーチンのせいです。彼の「独断」と「偏見と「奢り」のせいです。見かねたロシア人の中には「「彼を粛清すべきだ」という動きが出ているようですが、暗殺を恐れる彼は厳重な警備体制をひいているので、ままならないようです。

 思えば、ロシアという国は得手勝手な、ずる賢い国です。第二次世界大戦の時、日本とロシアは相互不可侵条約を結んでいたのに、日本がポツダム宣言を受託しそうだと、とみるや、20年8月1日、一方的に条約を破棄し、満州国の日本軍に雪崩を打って攻め込みました。大勢の日本軍人が極寒のシベリアに抑留され、過激な労働を強いられ数十万人が命を落としました。その上、終戦となった8月15日から2週間も過ぎた8月28日、ロシアは千島列島から樺太、国後、択捉など北方4島に侵入し占領しました。その時のロシアの大統領はスターリン。彼に反対する者をシベリア送りにして殺した悪名高きスターリンです。その数五千人とも一万人を超えるとも言われています。

 歴史的にみて、ロシアという国が無くなった時があります。蒙古のジンギスカン、ジンギスハンが活躍していた時代、ロシアは約250年間にわたって蒙古に支配されました。その後ロシア帝政が復活し、王政が復古するのですが、その王朝を支配したのが宰相・ラスプーチンでした。同じプーチンですから、今のプーチンはラスプーチンの血を継いでいるのかもしれません。そして、そして、日本が大東亜戦争後、国交を正式に結んでいない世界で唯一の国、それがロシアなのです。

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2022年3月13日       再び再録(放射能)

                                       炉心溶融(2011年3月13日)

  ついに、それが始まってしまった。福島県双葉の原子力発電所の一号機から、放射能が漏れだしたのだ。マグニチュード九・〇の地震により電源が破損し、冷却水が還流せず、原子炉本体が高温となって水蒸気爆発を起こしたらしい。その衝撃でプルトニウムの一部がメルトダウンを始めたという。

 半径二〇キロ圏内の住民に避難勧告がでた。大熊町、浪江町など全域がその対象区域だ。テレビ画面は避難民でごった返す国道のありさまを映している。クリスマス島や、チエルノブイリの大事故は記憶に新しいが、原発の事故は世界のあちこちで頻繁に繰り返されている。原子力空母や潜水艦事故は軍事機密として公表されていないが、それを含めれば、事故件数は呆れるほどのようだ。

 どだい、神の摂理に逆らって、原子核分裂のエネルギーにまで手を染めてしまった人類に対し、しっぺ返しが来ることは当然だ。水力発電なら事故は起こりようがない。化石燃料を使う分には、神もお怒りにはなるまい。炭酸ガスで溢れかえっていた街を、自転車のみにしてしまった都市がドイツにある。かえってこの方がいい。住民は幸せそうだ。

 人類は原子力発電から手を引くべきである。風力や太陽光など人畜無害な発電を多用すべきである。出力が少なく、需要に応じきれないとしても、人類はその範囲での生活に甘んずるべきであろう。車を排して自転車に切り替えたドイツ人の叡智を学ばねばならない。

 私が現役の社員で福島県を担当していた頃、双葉の町は原発誘致問題で街中が大騒ぎだった。結局、大金に目が眩んで誘致されてしまったが、もう、双葉の町は昔に戻れない。浪江町も大熊町もそうだ。微量とはいえ放射能汚染されたところから嫁を貰うバカはいない。奇形児が生まれる可能性が高いからだ。チエルノブイリのその後を見れば、後遺症の恐ろしさが痛いほど分かる。土地の値段は暴落し、広範囲に亘って廃墟が出現しないとは言い切れない。かつての誘致賛成派は、今になって臍を噛んでいることだろう。原発が活動を停止したので、東京電力、東北電力の支配区域は電力不足に陥った。全域に亘って計画停電が行われるようだ。首都圏は交通機関も止まり、信号機もつかなくなる。大混乱が予想される。恐ろしい未来がそこまでやってきた。 

 それはとんでもない未来である。そして、その未来は確実にやってくる。福島県双葉を中心に、半径三〇〇キロの範囲の日本国の国土が、人の住めない廃墟になってしまう未来である。関東平野のほとんどが入る。宮城平野も新潟県も含まれる。福島市、郡山市、宇都宮市、大宮市、そして首都圏。都市機能が失われていくのだ。東日本が壊滅していくのだ。

 福島原発破損への東京電力の対応は、ヘマの連続だ。最善を尽くしているのだろうが、結果的には放射能を垂れ流している。政府は必死になって現在の安全を強調しているが、原子炉本体の爆発はすでに時間の問題になっている。

 日本国はIAEAへ緊急援助を要請した。国際原子力機構はそれを了承し、間もなくアメリカ、フランス、イギリスから専門家の混合チームがやってくる。一刻も早い到着が待たれる。一旦、放射能が漏れてしまうと、それは半永久的にそこに留まる。

ストロンチウム190は半減期が三〇年足らずだが、セレン179は六万五千年、ジルコニウム103は一五三万年、テクネチウム109は二一万年、パラジウム109は六五〇万年、ヨウ素129に至っては一五七〇万年だ。

 これらの残留放射能が人畜無害なら問題ないが、動植物の生体系に激しく作用する。DNAの領域にまで踏み込んで正常値を破壊する。チエルノブイリ近郊の奇形児多発の様を見るがいい。成人も白血病やガンに侵されていく。広島、長崎の原爆症患者がその例である。

 いま、関東平野は北風が吹き荒れている。白煙を上げている原発上空の風は容赦なく風下の関東平野に流れ込む。ヨウ素129による汚染が始まったのだ。私の家も既に汚染されていよう。そして私自身の衣服にもヨウ素129は付着していよう。呼吸するたびに体内にも捕り込まれているに違いない。私は既に棺桶に片足を突っ込んでいるから、さして、命は惜しいとも思えない。しかし、私の子供たちは、そして、可愛い孫たちはどうなるんだ?

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2022年3月12日

 11年前の昨日は東日本大震災が起きた日です。毎日執筆するホームページは、その日はどんなことを書いていたか、自分を振り返るつもりで引っ張り出してみました。なかなか、詳細に書かれていました。ご参考までに再録しました。  

            存在の余りの軽さ(2011年3月12日)

 三月一一日午後二時四十分頃、テレビが地震速報を報じた直後、家が大きく揺れ出した。清瀬の従妹が確定申告のやり方を教わりに来ていて、計算をしている最中だった。国会中継の画面は、大揺れの議場と右往左往する議員たちを映し出した。 地震はかなりの規模だ。

 立ちあがってはみたものの、成り行きに任せるほかはない。二階では物が崩れ落ちる音がする。家は大きく揺らいでいる。テーブルの下に入ろうかと迷っていると、揺れは次第に治まってきた。震源地は三陸沖のようである。テレビ画面は仙台のビル内の物が散乱する様子を映し出す。

 津波警報が発令された。四メートルから一〇メートルを警戒しろという。途端に宮城県名取川の流域の津波が映し出された。防波堤を越える波が、次々に車や家を巻き込み、畑やビニールハウスを侵食していく。避難に遅れたに違いない豆粒のような人間が、その波に呑み込まれてゆく。画面は茨城の大洗に替る。大型の漁船がうちあげられて、魚市場の建物にぶつかっていった。道路を走っていた車が数十台、激流と共に道路下に転落してゆく。千葉港のコスモ石油のタンクがすさまじい炎を上げて燃えている。林立する隣のタンクに燃え移るのも時間の問題だ。

 宮城県気仙沼港は、入江の奥に位置しているためか、津波の勢いは激しかったようだ。次々に漁船が陸に揚げられていく。夜になって火災が報じられた。町全体が炎に包まれ始めた。石油コンビナートから漏れ出た油の引火が引き金になっているらしい。四キロ四方が炎を上げている。六〇余年前に、東京下町大空襲でみた火の海の体験にそれがだぶる。そこに居るに違いない人々の阿鼻叫喚は聞こえてこないが、鬼気迫る地獄の画面だ。

 気仙沼の朝日新聞販売店は老舗であり、三代目の塩野さん夫妻は街の人気者でもあった。恐らく、その店もこの炎の中に違いない。胸がきりきりと痛む。

 夜が白々と明ける頃から、テレビ画面は岩手、宮城、福島の海岸沿いの凄まじい被害を映し始めた。大船渡は壊滅していた。海沿いの街は瓦礫の山だ。販売店はその街の中にある。あの温厚な主人はどうなっただろう。亘理は完全に水没している。仙台空港は汚泥に埋まっている。  

津波は、仙台平野が平坦なことをいいことにして、かなり内陸までその爪跡を残しているようだ。  福島と宮城の県境である新地では、常磐線の線路が宙に露出し、貨物列車が脱線転覆している。コンテナがとんでもないところに転がっている。津波が凄まじい破壊力を持っていたことの証だ。相馬、鹿島、浪江、富岡、夜の森など、テレビ画面には写らないが、いずれも海沿いの街だから相当な被害を受けているに違いなかろう。福島の浜通りは、中通り、会津と違って、これが同じ福島か、と思うほど気候が温暖なところだ。五年間も担当したから愛着がある。当時、原子力発電所の誘致問題で双葉の街は揺れていた。

 波打ち際に建設された発電所では、いま、放射能汚染が懸念され、周囲の立ち退きが始まった。官首相がヘリコプターで飛ぶという。新たな災害に発展しないよう祈るのみだ。地震と津波に罹災した人々は、ほんの数時間前までは穏やかに暮らしていたに違いない。

 それがどうだ。あれよ、あれよという間に、家は破壊され、逃げるいと間もなく、濁流に押し流され、存在の基盤を失っていく。あるいは気仙沼のように火災の炎に包まれ、命を落としていく。なんという存在の軽さだろう。死を余儀なくされた人々は、その日の午後三時ごろまでは、自分の命があと数時間後に迫っているなどとは、夢想だにしなかったに違いない。死を与えられた人々は、自分が既に死んでいることに気がついて、今、愕然としているのではあるまいか。

この不条理は、一体、何なのだ!

 死者、行方不明者の数は時間を追うごとに増加している。二四時間後のいまは一五〇〇人ほどだが、恐らく三万人は超えるだろう。住むところを奪われた人々は一〇万人を超すのではあるまいか。

 東京を含む関東は、交通機関が一日停止となった位で、さしたる被害もない。東京は、申し訳ない程の春の陽だまりの中にある。関西大震災、新潟中越地震、それに、今回のマグニチュード九・〇の東日本太平洋地震と続いている。次は是非とも平成の関東大震災が起きて、ぬくぬくとしている東京の連中にも不条理な死を賜らなければ不公平というものだ。その日はどうやら近い気がする。

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2022年3月11日          日本沈没

 小松左京が書いた「日本沈没」というSF小説がありました。この小説大変な話題となりました。続いて映画も製作されました。二谷英明、小林桂樹、丹波哲郎、いしだあゆみなどが出演していました。1973年、いまから47年前の頃ですが、当時、大きな話題となりました。この本は地下の書庫に今も眠っているはずです。

 50年後の今、しきりに取りざたされているのは南海トラフ地震と、東京直下型地震です。海底のプレートが大変動することにより太平洋沿岸では15メートルを超す大津波が発生すると予測されています。すると太平洋沿岸の都市はどうなるでしょうか? 静岡、浜松、沼津、小田原など海抜0メートルに近い都市です。高知県、和歌山県の海沿いの街も同じです。どれだけの被害が発生するか?、恐らく想像を絶する阿鼻叫喚の世界となるでしょう。

 今は春の初め。海岸に打ち出でてみれば「春の海のたりのたりかな」で、とてもそんな大災害がこの海に潜んでいることなど、微塵も考えられないでしょう。でも、その予兆ともいえる東北大震災が10年前の今日、起きたではありませんか!大勢の罪もない人々が波にのまれ、原子力発電所まで破壊されたではありませんか!

 地球は生きているのです。地下深くでは灼熱のマグマが火山の出口付近で飛び出す機会を狙っているし、海底深くでは地殻同志が押し合いへし合いしながら、相手の下に潜り込もうと、大喧嘩の真っ最中なのです。

 つまり、今の平穏な毎日は「かりそめの姿」であるのです。つかの間の平安を与えられているにすぎないのです。何百年か、何千年かのち果たして、日本はその細長い島国の姿のままで生きながらえているでしょうか?何万年後には、どんな姿になっているのでしょうか? どうしても、もう一度この国のどこかで生まれ返って、この目で確かめない訳にはいきません。

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晩年の小松左京

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2022年3月10日         11年目

 明日は3月11日、東日本大震災が起きて11年目に当たります。日本の観測史上最大級といえるマグニチュード9.0の地震が宮城沖、三陸沖で起きました。津波が発生しました。その高さは平均で10メートル、最大で40,1メートル。それによる死者は15,899人。今なお行方不明になっている者2526人。更に、15メートルの津波が福島県浜通りに位置する双葉原発を襲い、冷却水を送り込む電源が破損したため原子炉は高熱に耐えられず、炉心が溶融し、大爆発を起こし、放射能が空中に拡散し、風に乗って福島中通り、栃木県、群馬県の山中にまで流れました。よって、10年後の今日まで同県では山菜、キノコ類の売買禁止です。

 私は販売局の外勤社員として福島県を5年、茨城県を2年半、東北・信越・富山を担当する部長を2年務めました。外勤社員は足が勝負です。被害に遭った宮城県の塩釜、多賀、石巻、気仙沼、そして岩手県の三陸沖の陸前高田、大船度、釜石、宮古などの取引をいただいている販売所長さんらのお顔が、今でも目に残っています。特に気仙沼には広野さんという明治生まれの頑張り屋さんがいました。宮古は今は㈹が替わっていますが、先代の盛合聡さんは販売店と共に朝日新聞宮古通信局長も務め、本や詩集まで出版していました。

 片や、福島県浜通りの被害は甚大です。双葉町、浪江町、大熊町、夜ノ森町、小高町、富岡町は今もって居住困難地域です。ようやく、最近になって富岡が解禁され、続いて、大熊町も続いているので、いっそのこと、東京を離れ、放射能の中に飛び込んで暮らそうか、と老い先短い私は考えないでもないのです。

 大震災から11年目の明日、不幸にして命を奪われた人々、まだ、見つかっていない人々、の御霊の安からんを祈るや切です。また、放射能の後遺症で苦しんでいる人々、特に福島民報社の記者で、放射能の中を、かき分け、へし仕分けして取材に当り、とうとう目の玉をガンに侵され、今は片目で頑張っている小林記者さん!大兄のご健勝を祈るや切です。

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2022年3月9日          朝日メイト          

 昔の話で恐縮ですが、六本木のロシア大使館から秘密諜報員にならぬかと、持ち掛けられたことがあります。それは、北関東担当次長から宣伝部長になった時のことです。宣伝部員60人の組織のなかの幹部と相談し、「戦う宣伝部」を旗印にして戦おうと打ち上げました。その第一弾として朝日友の会(朝日メイト)を創設しました。当時流行り始めたカードの発行です。読者であれば、朝日主催の催し物にカードを持参すれば料金が割引される制度です。当時、毎月読者に届けられる無料のカレンダーの裏面を朝日メイトの広報紙としました。銀座の榊原音楽事務所、安田音楽事務所など数社が「これ幸い」とばかり数々の企画を申し込んできました。その中の一つにNHKと朝日の共催によるロシアバレー団の日本公演がありました。「くるみ割り人形」、「白鳥の湖」などがNHKホールで催されました。大盛況で、入りきれず通路まで人で埋まりました。気をよくしたのでしょう、ロシア大使館での関係者のパーテイに何度か呼ばれました。そんなある時、ロシア大使館の別室に呼ばれました。「あなたを見込んでのお願いだが、こちらが望む情報の提供者になってくれぬか、それなりの報酬をお渡しする」というものでした。かなり高額の金額が提示されました。思い余って当時の局長に、どうしたものか、と持ち掛けました。局長は「即座に手を切れ。当たり障りのないように、ぬらりくらりとしていろ」とのご託宣。秘かに何度か催促の電話がありましたが、無音を貫きました。

 つまり、ロシアとはそういう国なのです。当時はまだソ連邦が崩壊以前でアメリカとの冷戦の最中だったと記憶しますが、今となると「難を逃れてよかった」という思いで一杯です。一方、カードによる消費者の囲い込みは今や全盛です。朝日メイトは今も存続しているはずですが、既に形骸化しているようでもあります。時の流れには恐ろしいものがあるようです。(写真はキエフバレー団です)

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2022年3月8日        物言わぬ中国

 ロシアのウクライナ侵略について、世界のほとんどの国がロシアに対して、 何らかの言葉を発しているのに、中国は世界に向ってモノを言わない態度をとり続けています。しかも、全人代という重要会議が開かれているにも拘わらずです。僅かに、王毅外相が「国際情勢がいかに悪化しても中露関係は前に進める」と述べただけです。        

 古代ローマ帝国がヨーロッパ、中東で権勢を揮っていた時代、ローマ皇帝ネロは暗殺されるとき、腹心であった同志に向って「ブルータス、お前もか!」と言いました。世界は、中国に向って「中国よ、お前もか!」と言わねばならないようです。何故、中国はロシアのウクライナ侵略に対して何も言わない、言えないのでしょうか? それはロシアと同じことをしようとしているからでありませんか? 言わずと知れた台湾侵略です。日本領である尖閣諸島の奪取です。更に、中国の狙いの中には沖縄列島の中国の帰属化も含まれているはずです。なぜなら、大昔の沖縄は琉球王朝であり、中国に貢物を献上していたからです。

 忘れてならないのは、中国の現在の発展は「法の支配」を礎とした国際秩序のなかで培われたことです。その秩序の破壊に及んでいるロシアに対して傍観していていいものでしょうか。恐らく14億5000万人の民は、世界の市民と同じように、ウクライナへの侵略と殺戮を嘆き悲しんでいるいるはずです。それが聞こえてこないのは、共産党組織の徹底した言論統制のせいです。嘆かわしい、実に悍ましい現実がそこにあります。

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2022年3月7日                   春の兆し

 小学校の時の卒業式で、在校生を代表して送辞を述べたことがあります。受持の上野先生は、「まず自分で考えて文章を作ってみよう」とおっしゃるので、この難題と取り組み「ようやく春の兆しが感じられる頃となりました」で始まる送辞を作り上げました。先生は「春の兆し」にいたく感心されて、ほとんど手直しなしで、筆字による巻物になり卒業式に及びました。読み上げる自分の声の震えに、自分でも驚きながらどうにかお役目を果たしました。卒業式の時も答辞の役目を仰せつかりましたが、そちらの文句は既に忘却の彼方ですが、この送辞の「ようやく春の兆しが、、、」で始まる一連の文章が、時を越えても、時折、脳裏を掠めます。

 3月のひな祭りを終え、この数日、その兆しを心底から感ずる日が始まりました。猫額の庭の梅も満開となりました。しかし、毎年、時を忘れて見上げる近所の公園の桜を観に、昨日、「どんな様子か」と立ち寄りましたが、数ある蕾はまだ膨らんでいませんでした。同じ公園の沈丁花の茂みは、それでも、一、二、輪馥郁たる香りを放っていました。今年初めての嬉しい香りです。何故か、私はこの花の香りが好きで好きでたまりません。毎年、夜中に小さな枝を盗み取ってきては、食卓に飾ってその香りを楽しんでいました。それをするのも、恐らく、この2,3日後でしょう。

 とは言っても、春の兆しは楽しいものでもありません。困るのは、毎年、規則正しく発症する花粉症です。今朝、仕事場のガラス戸を大きく開けた途端に目が痒くなりました。慌てて、去年貰って余っていた目薬を差しましたが、古い薬のせいか、余計、痒くなりました。今日の仕事の大部分は眼科と耳鼻科へ行くこととなりました。

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2022年3月6日                  歌は世につれ

 一昨日の朝日新聞の終面に高橋真梨子のアルバムの広告が出ていました。「ジョニーへの伝言」、「五番街のマリーへ」など、若いころに「いいな」と思った歌声が蘇ってきました。若干、ハスキーながら歌唱力は抜群でした。私が現役で宣伝部長だった時、次長を務めてくれた、今は有隣堂書店社長の松信君などは彼女に首ったけでした。最近は、ほとんどテレビでは見かけませんが、彼女も既に73歳、専らラジオでは活躍しているようです。芸歴、約半世紀、大したものです。

 同じく好感を持って聴いた歌手にユーミンこと松任谷由美がいます。ハスキーながら、音程はシッカリしていて味がありました。彼女のレパートリーのほとんどはご主人の松任谷正隆の作曲によるもので、これもまた音楽的にみて秀逸でした。私が30代の頃、曲集を買ってきてそのほとんどのピアノ伴奏をマスターしたこともあります。中でも「アップタウンは灯ともし頃」という、彼を慕って家出をする女性の哀愁を歌った曲が好きで、今でも時々弾くことがあります。歌詞もスラスラ出てくるから不思議です。同じく好感度をもって伴奏をやってみた男性歌手に小椋佳がいます。「少しは私に愛を下さい」など、独特のいい曲が沢山ありました。

 思えばポップスの世界も大きく様変わりしました。ヨナヌキ調の演歌が隆盛を極めた時代があったと思っていたら、今は、ほとんどがグループサウンズです。舞台で身体を激しく動かしながら、異次元の歌を怒鳴っています。

 高橋真梨子の「ジョニーへの伝言」、「五番街のマリー」など聴いてみたくて、広告主に注文を入れました。価格3630円でした。 

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2022年3月5日         河野太郎

 私事ですが、3月1日から4日まで、膀胱結石除去のため、板橋の専門病院へ入院しました。 前日の2月28日にもその病院へ行き、PCR検査を受け、陰性を確認しての入院でした。全身麻酔をするため、80歳以上の者には万一のことがあるかもしれないから、というので保護者同伴で麻酔科の医師と面談しました。幸い、次男が勤めているコンサルタント会社が病院の近くだったので、来てもらって説明を受けました。2日の午後、手術室に運ばれ、気が付いたときには終わっていました。

 生きて、再び娑婆に戻れるか、という一抹の不安がありましたが、後遺症もなく、こうしてパソコンに向って文字や写真を打ち込むことが出来ています。「お前にもう少し時間を与えよう」という神様の計らいをシミジミ感謝しているところです。

 病室にはテレビもあり、その上、IPADも持ち込んだので、「徒然なるままに日暮しのぞき込んで」は刻々と変化する戦乱をイヤというほど眺めました。そのうちの一つに、今は自民党内の閑職に追いやられている「河野太郎」へのインタビューが約一時間ありました。感心しました。成程と思いました。その綿密な情報収集能力と外務大臣、防衛大臣をやった上での見識の深さに圧倒されました。彼こそ、これから間もなく訪れるであろう「日本の苦しみ」の時代を乗り切るに相応しい人間だと痛切に思いました。早稲田の後輩ではあっても「冷凍透明人間」の岸田文雄との人間の大きさの違いをつぶさに感じました。現役の時、朝日主催の催しの表彰式で彼の母親、つまり河野洋平さんの奥様と同席したことがあります。素敵な女性でした。「この母有りて、この子あり」の感を今更のように強くしました。彼がツイッターに自分のページを持っているのを知り、早速、フォローすることに決めたのは言うまでもありません。  

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 太郎さんの奥様は香さん
    群馬県出身で伊藤忠と血縁関係
    聖心女子大卒 53歳    

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2022年3月4日          ロシアの孤立化        

 ロシアのウクライナ侵攻が始まって今日で九日目。世界はロシアの孤立化に向って動き始めています。そのテンポは驚くべき速さで進んでいます。専制君主ロシアのプーチンにこの変化の読みはあったのでしょうか? 先ず、国内に起こった戦争反対の大きなうねりです、プーチン批判です。言論統制の国ですから反対論を唱える者は逮捕されます。報道は規制されます。それでも、「狂った皇帝の侵略戦争に気付かないふりをするのは止めよう」という合言葉は国中に溢れ出しました。これに同調し逮捕された一般ロシア人は1万人を超えているそうです。

 ロシアにも企業経営者や大富豪が存在します。世界各国の事業者と手を結んで生産活動を活発に行っているのは専制主義国といえども資本主義国と大差はありません。プーチンによるウクライナ侵攻を咎めてロシア企業と手を切ることを表明する世界の流れが急速に広がり始めました。シエル石油がそうです。日本のトヨタはロシア工場を閉鎖すると表明しました。すると、どうなるでしょう? 工場が閉鎖されれば基軸通貨のルーブルは下落し、従業員は失業します。ロシア国内は失業者で溢れるでしょう。流通経済、および生産活動が鈍ればロシア経済が大打撃を受けること、正に必須です。そして困るのはロシアの一般民衆、ロシアの庶民です。

 民衆に不幸が訪れることを知りながら、 国の経済が破綻することが分かっていながら、領土拡大のために、「かつてのソヴィエト連邦再構築」という自分勝手な思い入れにより、まず、ウクライナから始めようと「トチ狂った専制君主プーチン」が始めた「本物の戦争」それも「侵略戦争」が先月24日からの経緯です。

 国連総会が非常招集されました。40年ぶりのことです。193カ国が集まりました122カ国が演説しました。ロシアを非難し、ウクライナからの即時撤退を求める決議案が143カ国の賛成多数で採択されました。反対はロシアを含めて5カ国。その5カ国とはロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、シリア、いずれも独裁専制君主が政権にある国です。軍事政権下にあるミャンマーでさえ反対しました。ミン・アウンフラインに軍事政権下でスーチーさん時代に国連大使に任命されたチョーモートンが居座り続けて、堂々、反対票を投じたのです。一方、議案に棄権票を投じた国は35カ国です。中国、インドが入っています。ほとんどがロシアから恩恵を受けている国と言っていいでしょう。参考のために列記しておきましょう。

 賛成-143ヵ国 反対ー5ヵ国 棄権ー43ヵ国 (43カ国の内訳)アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、パングラデッシュ、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ、中国、コンゴ、キューバ、エルサルバドル、カザフスタン、キリギス、ラオス、マダガスカル、マリ、モンゴル、モザンビーク、ナンビア、ニカラグア、パキスタン、セネガル、南アフリカ、南スーダン、スリランカ、南スーダン、タンザニア、ベトナム、ジンバブエ

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2022年2月28日         白い目

 国家が国家として存続していくためにはエネルギーが必要です。電力を作り出すために水力があり、風力があり火力があり、原子力まであります。そこへ加わってきたのが天然ガスです。ロシアはその天然ガスの産出量が世界第一位です。埋蔵量は38兆立方メートル。第二位はイランで32兆立方メートル。三位がカタールで24兆立方メートル。原子力発電を諦めたドイツは、ベルリンからロシアまでパイプラインを建設し天然ガスをロシアから買っています。ということはドイツがウクライナに加担すれば、ロシアからパイプラインを閉められる恐れが十分にあります。ドイツにその勇気が果たしてあるでしょうか?

 NATOが締結されたのは1949年です。その時の加盟国はベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、アイスランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウエー、ポルトガル、イギリス、アメリカでした。その後トルコ、ギリシア、ドイツ、スペイン加わり、1999年には新たにポーランド、チエコ、ハンガリーが入りました。当時の約束では統一ドイツから東の国は入れない、とあったにも係わらずです。

 更に、2004年には、かつてはソ連邦であったエストニア、ラトビア、リトアニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ルーマニアが加わり、2009年にはアルバニアとクロアチアが、2017年にはモンテネグロが、そして2020年には北マケドニアが加わりました。未加盟国はフィンランドとスエーデン、オーストリア、キプロス、そしてマルタに、そして、そしてベラルーシとウクライナ、、、、、、。そのウクライナが憲法にEUとNATOに加盟すると憲法に謳ったのです。俳優でコメデアンだった大統領のお陰で、、、、。ヨーロッパ中から白い目で見られるロシアの気持ちにもなってみたら!?といいたいところです。

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