最近のエッセイ(74)

2021年10月21日

  ショパンコンクールのファイナル結果が出ました。日本の反田恭平が2位、小林愛実が4位に入りました。ショパンのピアノ協奏曲1番と2番を演奏したファイナリストは12名。国別ではポーランド2、カナダ2、イタリア2、中国1、日本2、スペイン1、ロシア1の12名でした。通常は6名が選ばれるのですが、何故か、今回は3位と4位が2名づついます。だから、合計8名が入賞です。

 一位はカナダのブルース・ルイ。二位は日本の反田恭平。三位がスペインのマルタン・ガルシアとイタリアのアレクサンダーガジェブ。四位が日本の小林愛実と、ポーランドのヤクブ・クーシュリック。五位がイタリアのレオノーラ・アルメリーニ。六位がカナダのジャン・ルイ・ヴイ。中国と韓国とアメリカとロシアは誰も入りませんでした。

 私が秘かに期待していたのは、角野隼斗と古海行子です。だから、この結果は私にとって面白くも何ともありません。と、思って審査員の顔ぶれを見ると、ロクなピアニストがいないではありませか!今は亡き中村紘子が居ればこんな結果にはならなったでしょう。このコンクールで日本人として二位となった内田光子の顔が見えていましたが、彼女はイギリスに永住しているおばあさん。僅かに日本のピアニスト海老章子(ショパンコンクール5位)が居ました。それにダン・タイソン がいるのにはビックリでした。彼はアジア人として初めて優勝したベトナム人ですが、既に過去の遺物でしょう。ほとんどの審査員がポーランド人のこの5年に一度の大会。世界には優れたピアニストが大勢います。ホントに一流のピアニストに審査して欲しかったなあ、と思うのは私だけでしょうか?

 

 

 

 

 

 

2021年10月15日       オリーブ大好き

 香川県から上京した知人からオリーブの実の油付けをいただきました。私はオリーブの実が大好きで、早速、お酒と共に美味しくいただきました。四国へ行った時、見渡す限りのオリーブ畑を見たことがありますが、日本のオリーブは意外に小粒です。温暖な気候のタイ・チェンマイにもオリーブはありました。何故か、一般のレストランのメニューには載っていません。チェンマイ空港のダイナーズクラブ員などの会員専用ウエイテイングルームには、いつも大量の黒いのと緑色との二種類のオリーブがおつまみとして大きな器においてあり、しかも、無料ですから大喜びでいただきました。香港経由でチェンマイへ行った時は、ドラゴン航空の出発時間まで、かなりあったので、無料のレストルームのオリーブを貪り食べてしまいました。オリーブには2種類あって黒いのと緑色のものがあります。黒い粒の方が味わいが深いように思います。オリーブ油は巷に溢れているのに、なぜ、オリーブの実は料理の飾り程度にしか需要がないのか、オリーブの実を主役にする料理がないのか、不思議でたまりません。

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2021年10月14日      二次予選通過者・日本5名

 ワルシャワのショパンコンクール、いよいよクライマックスを迎えます。二次予選通過者23名が発表されました。日本は8名の内5名が通過しました。角野隼斗、反田恭平、進藤実優、小林愛実、古海行子の5人です。意外なことに確実視されていた牛田智大の名前がありません。彼のファンの日本女性は落胆しているでしょう。

 意外なのは小林愛実です。平手奏法が出来てはいても、右手小指と薬指を丸める癖が直っていません。私は、はなからダメだと思い、演奏も少ししか聴いていません。進藤実優はこれから聴きます。驚いたのは、初めて聴いた古海行子です。実に実にいい演奏でした。平手奏法は完璧で、音の出し方は、わが敬愛してやまない世界的ピアニスト・カチヤ・ブニアテシュビリそっくりでした。昭和音大出だそうですが、ことによると、ことによるかもしれません。

 笑っちゃったのは16名のポーランドが6人残り、その6人が全員二次合格したしたことです。日本は8人中5人でしたが、何と中国は22名出て5人が残り、二次合格はたったの1名です。

 第三次予選は明日から20日まで23名によって行われます。ショパンの2曲のソナタが課題です。第二楽章が葬送行進曲のあれです。最終選考はオーケストラとの共演で協奏曲の1番と2番です。そして、1位から6位までが入賞です。その中に誰でもいいから日本人が入ってくれたらいいなあ、と願っています。 

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2021年10月13日       もう一人いた! 

 まだ、演奏を聴いていない4人の内、小太りでチョビ髭を生やした反田恭平がいました。私は、元来、髭を生やしている人間には好感を持てないでいるので、この男の演奏など聴いてやるものか、と思っていました。しかも、頭の髪をポニーテールにしているではありませんか。外見からしてショパン演奏には不向き、と独り決めしていました。ところが、ところがです。大きな手を柔らかく動かしながら、完全極まりない平手演奏で、難曲を弾きまくるではありませんか!軽業的動作も一部見受けられ、髭ずらの顔も千変万化させてはいましたが、音の表現力は抜群です。ただ、自己陶酔する場面が多すぎる。音楽家は得てして、曲にのめり込むあまり、表情や身振り手振りでそれを大げさに表そうとする。中国系のピアニストのほとんどがそれです。表現者が自己陶酔する様を見るのは、決して褒められたものではありません。

 桐朋音大の頃から頭角を現していた彼は、既に27歳。ロシア人女性と既に結婚し、現在はポーランドに住んでいるオッサンです。子供もいるかもしれません。しかし、日本の8人の予選通過者の内、彼を候補にあげない訳にはいきません。

 ショパンコンクールの最終選考は今月の20日頃です。ワルシャワのショパン公園も紅葉が始まり、人々は落ち葉を踏みしめ、ベンチに腰を落としてショパンを模した噴水を見とれているでしょう。5年前その公園を歩き回りベンチで休みましたら、途端にベンチがショパンのピアノ曲を奏で始めたではありませんか。席を立つと途端に音は鳴り止みました。悪趣味だなあ、と思いました。

 まだ子供っぽい牛田智弘、学者肌の角野隼斗、オッサンの反田恭平、いまはもう誰でもいいから、中国、韓国を抜いて栄冠を射止めてもらいたい思いで一杯です。

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2021年10月12日         第一位候補者!

 ショパンコンクールでの日本の予選通過者 8名の内、四番目に聴いたのは角野隼斗(スミノハヤト)の演奏です。与えられた30分の演奏で彼は、私が愛してやまないノクターンのNO15番から弾き始めました。難曲中の難曲です。実に実に、名演奏でした。平手奏法も完璧でした。何でこんな音が紡ぎだされるのだろう、と驚きをもって聴き惚れてしまいました。牛田智大を遥かに超えています。小林愛実など足元にも及ばない演奏です。日本にもこういう演奏家が居たんだ、と嬉しくなりました。調べてみました。彼は千葉県の八千代市に住んでいて、母親がピアノ教師であったことから、幼いころからスタインウエイのピアノと戯れています。何と、開成高校から東大の理一に在学していた26歳の若者です。牛田智大は高校、大学とは無縁でしたから大違いです。ある意味では、ピアノ演奏に学歴など無用でありましょう。でも、私はそうは思いません。なぜなら、ピアノの音はその奏者の人間性が現れるからです。全人格がピアノの音に現れるからです。角野隼斗が醸し出すピアノの音には優れた思想性までありました。恐れ入りました。日本にも世界に通用するピアニストがいたのです。恐らく彼は入賞を果たすはずです。私は第一位を確信しています。彼の演奏を聴いた以上、残りの4人の演奏を聴く気にはならなくなりました。

 よしんば、上位入賞にならなくても、私は東大理一で学んだピアニスト角野隼斗の ファンになりました。それは、私が愛してやまないショパンのノクターンの難曲を、私もそのように弾けたらいいなあ、と思うように弾いていたからです。さて、結果はどうなるでしょう。楽しみです。

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1995年生まれ 千葉県八千代市
   開成高校から東大理科一類 好きな食べ物
   カステラ、チャーハン、ゴーヤ・チャンプルー

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2021年10月11日             都市の脆弱性

 一昨日夜の震度5の地震の影響だったのでしょうか、鉄道に電気を送る変電所で火災が起き、首都圏のJRが全面的にストップする事態となりました。日曜日とはいえ、人の動きは活発です。駅ごとに長蛇の列ができ、首都圏はマヒ状態となりました。一方、各地で水道管が破裂し、水漏れが起き、給水がままならなくなって、給水車まで出る騒ぎが起きました。震度5であっても、都市機能がマヒすることをこの地震は教えてくれています。問題の一つは水道管の破裂です。地下に設置されている水道管はほとんどが40年以上経過し、老朽化しているそうではありませんか。h補修のため掘り起こされた太い水道管を写真で見ましたが、錆びだらけで、見るも無残な姿です。この中を通って来る水を、我々は使っているんだ、と改めて恐怖を覚えました。寝室に常備しているペットボトルが北アルプスの天然湧水であったことは正解だったと、改めて思いました。

 ユーチューブを見ていると、中国での大雨はまだ止まるところを見せず、河川は氾濫し、都市は道路といわず、一階部分まで水没しています。当然、飲料水と停電の被害に遭っているわけで、中国当局はそれをひた隠しにしてますが、人々は想像を絶する苦しみの中にあるでしょう。地震と洪水、いずれも自然災害です。自然が少しでも暴れると人間の生活が脅かされる事実を、私たちは改めて知らされているのです。人間の驕りに対して鉄槌が下されているのです。

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2021年10月10日      豊洲・お台場・有明

 昨日、新豊洲駅近くで、今回の衆議院選挙で東京8区から立候補する、山本太郎の決起集会が開かれました。その様子を垣間見ながら、久しぶりなので、築地から移転した海鮮市場やオリンピック村などを見てこよう、と車で出かけました。

 驚いたのは銀座4丁目から歌舞伎座、築地本願寺を左に見て月島へ続く幹線道路が、その先を突き抜け、有明の先までつながっていたことです。高層建築が建ち並び、昔の面影など全くなくなっていました。仕事で千葉県を助手を担当したあと、江東6区で正担当となり、その後、千代田、中央、新宿、港を担当しましたが、当時の面影など全くなくなっていました。販売店との取引上、その区域がどういうものか、自転車に乗ってその区域を隈なく回って歩くのも外勤社員の仕事でした。豊洲有明には高層住宅がまだ、チラホラだったころです。当然、「ユリカモメ」や「湾岸線」「レインボーブリッジ」など有りませんでした。その後、朝日学生新聞社に移り、折に触れ、豊洲の「ドウースポーツ」へ行って、ジャズダンスに迄加わった時期がありましたが、その時の豊洲もまだまだ、寂れていました。新築の海鮮市場は土曜日のためか入場が出来ませんでした。余りに広大で、車も人通りもなく、迷ってしまったので、車をUターンさせたところ、そこに張り込み警官がいて、切符を切られてしまう、というおまけが付いてしまいました。

 一方、山田太郎の決起集会は、2時から始まって7時まで続きました。かなりの人が集まり熱気に溢れていました。東京8区からの立候補の予定だそうですが、そこは石原慎太郎の長男の地盤です。実績のない、名ばかりの男です。山田太郎に替わるのではないでしょうか。 

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2021年10月9日       ショパンは嘆く     

 今年は5年に一度開催されるショーパンコンクールの年です。ポーランドのワルシャワの街は沸き立っていることでしょう。45名の第一次選考合格者が発表されました。内訳はポーランド6、アメリカ3、ロシア3、イタリア3、中国5、韓国3、台湾3、そして日本は8人が第一次選考をパスしました。なぜか、ドイツ、フランス、イタリアなどはゼロです。8人のうちの牛田智大(ともひろ)と小林愛実のライブをユーチューブで聴いてみました。福島・磐城の生まれの彼は1999年の生まれですから弱冠22歳、既にプロとして仕事をしています。幼い時は上海で育ち、専ら、中国のピアニスト、ランランやカンカンを参考にしていたようです。ただ、彼らの曲芸師のような身振り手振りを嫌ったようで、音の表現における曲芸師ぶりが彼の演奏を際立つたせていました。小林愛実は5年前にも出場していますが、相変わらず、平手奏法が完全ではなく、恐らく、また、ダメでしょう。残りの6人の演奏も聴いてみる積りでいます。

 5年前、このコンクール目当てでワルシャワへ行きました。チケットは中国、韓国の旅行社に買い占められていて入場は叶わず、ホテルでのテレビ視聴となってしまいましたが、印象を悪くしたのは、1位から6位までの凱旋演奏会の時でした。6位から2位までの入賞者は壇上のヤマハで弾いたのに、1位の韓国人は、わざわざヤマハを引っ込めさせて、スタインウエイに替えさせて演奏したことです。大勢の観客の前でピアノを取り替えさせるのは大変な労力です。オオケストラーの団員も、満員の観客もそれが終了するまで待たねばなりません。韓国人は、そこまで日本を嫌うのか!と怒り心頭を発し、韓国人の1位を祝福したい気持ちがすっ飛んでしまいました。今年のワルシャワも、中国人や韓国人の団体客で一杯でしょう。既に、ヨーロッパの人々はこの現状を見て、愛想をつかしていることでしょう。

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2021年10月8日         震度5

 昨晩11時ごろ、ベットへ入ってIPADをもて遊んでいると、かなりの揺れが始まりました。ここしばらくなかったので、「スワ、東京直下型地震か!」と身構えましたが、幸い、しばらくして収まりました。「千葉県内陸を震源とする震度5!」とIPADに表示されました。「もし、震度6だったら、、、」 と思うと、これはもう大事件です。でも、高層マンションなどはかなりの揺れがあったはずで、お住まいの人々は、さぞ、怖かったろうな、と平屋に住まわせてもらっている現在を感謝しました。

 朝、テレビでは各地の交通遮断や、のろのろ運転、駅の大混雑などが映しだされました。外房、内房線などほとんど動いていません。大行列して辛抱強く待っている通勤者の群れを見ていると、胸が痛くなりました。今日は金曜日、私の次男は大宮から山手線の大塚まで通っています。大群衆の一人として難儀しているでしょう。

 大正13年9月1日、東京は大地震となりました。関東大震災です。多くの建物は破壊され、沢山の人々が亡くなりました。大正3年生まれの母の一家は、その時、東京深川に家を構えていました。10歳で大震災の恐怖を体感した母は、折に触れ、その時の恐怖を語っていました。日本は島国で富士山を始め休火山はあちこちでその活動の機会を狙っています。次に予想される大地震は、首都圏直下型、と南海トラフ地震です。その時発生する津波の高さは15メートルを超えるそうです。鎌倉を始め湘南海岸一帯は水没するでしょう。沼津、静岡、浜松は何の防備もありません。その時、富士山の爆発が同時に起こったら、、、、小松左京の「日本列島沈没」です。地球温暖化について量子コンピューターを使って予測したノーベル賞受賞者の真鍋さんは、それが現実に起こりうることを証明しています。怖いことです。

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2021年10月7日         輝く目

 音楽は音で成り立っています。音は楽器が無ければ成り立ちません。楽器には弦楽器、吹奏楽器、打楽器、鍵盤楽器などいろいろですが、難しいのは弦楽器ではないでしょうか。バイオリン、ビオラ、チェロなど、指と弓を使って自分で音を作り出さねばなりません。昔、習ったギターや三味線はまだマシでした。勘所をたがえず指を置いて弦を弾けば音が出ました。でも、指が痛くなった余り、叩けば安易に音が出るピアノに替わりました。

 高嶋ちさ子は桐朋音大出のバイオリンニストです。いつ見ても、好奇心に充ちた目を、ランランと光らせている不思議な女性です。テレビを見ていた時、肉料理試食会で「このお肉、バケツ一杯食べたい」と淑女にあるまじきスットンキョな発言をしました。その時から、私は彼女のファンになりました。テレビ界が彼女を重宝にし始め、今やテレビ界の兆児になっています。この彼女率いる12人のバイオリンニストが12月4日、サントリーホールで演奏会をします。以前にも、桐朋出のバイオリンにスト古沢武、葉加瀬太郎、高嶋ちさ子で武道館を満員にしたことがあります。恐らく、券の入手は困難でしょうが、今月23日に大学時代の友人の計らいで日本フィルハーモニーとピアニストの演奏会でサントリーホールへ行くので、券を当たってみようと思っています。演奏はともかく、実物の高嶋ちさ子を見たいなあ、という思いでいます。ところで、彼女の父親は高島忠夫と兄弟です。どうしたことか、彼女の姉はダウン症を患っています。ご主人は御木本パールの社員、男の子が二人いて一人は既にアメリカへ留学しているとか。兎に角、高嶋ちさ子は不思議な存在ですが魅力的な女性でもあります。

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2021年10月6日       韓国はなぜ?

 今年も愛媛県の片田舎から出た90歳になる真鍋淑郎さんが、地球温暖化の理論構築でノーベル賞を受賞し、日本中が湧いています。日本は28人目の受賞者を出していますが、お隣の韓国はいまだにゼロです。僅かに平和賞の金大中がいますが、これは学術賞ではありません。何故でしょう? 加えて、世界には様々な学術賞が63種類も存在し、日本人は数多く受賞しているのに、韓国は全くのゼロです。何故でしょう。日本に比べて教育程度が低いのでしょうか?そんなことはありません。韓国は学歴社会であり、若者は必死に勉学に励み、高等教育を受けています。その状態は日本以上に苛烈を極めています。ノーベル賞はひらめきや思い付きで受賞できるものではありません。日本以上に教育熱心な韓国であるにも係わらず、なぜ、ノーベル賞受賞者がゼロなのか? なぜ、世界の63もの学術賞受賞者が一人もいないのか?不思議でなりません。そこで、いろいろ調べてみました。様々人たちが穿った分析をしていました。表立って書くことが躊躇われるものも数多くありました。総じて、民族性によるものだ、ということがハッキリしました。来年こそ、韓国からも受賞者が出てほしいものです。

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2021年10月5日      さて、60ともなれば

 鎌倉時代に生きた将軍・北条重時(1198~1261)に「極楽寺殿御消息」という100か条の教訓書があります。第一条「人として振舞うべき次第」には、20代までは学習と鍛錬の時であり、30代から50代は社会的責任を果たす時であるとし、次のように続きます。「さて、60ともなれば何事をも打ち捨てて、ひたすら、後生を願って念仏せよ。その年齢になったならば、たとへ子供が死に、子孫が滅びようとも、この世に心をとどめることなく、そのことを、信仰を深める助けとして、自分はもはやこの世にないものと覚悟すべきである」としています。

 さて、岸田内閣の閣僚人事が発表されましたが、ほとんどが60代以上であります。中には77歳の者もいます。各派閥を仕切ってきた古参議員がその順番によって大臣になった、というのが本当のところでしょう。よく見ると、派閥も出身大学も見事に均整がとれています。更によく見ると、ほとんどが世襲議員です。政治を職業としてきている末裔たちが、漸くにして大臣の座を射止めたといっていいでしょう。

 今月末には解散となり選挙が行われます。野党もそれなりに頑張っていますが、果たしてこの牙城を崩すことが出来るか、甚だ疑問です。全く、世襲とは関係のない山本太郎率いる「令和新選組」が巷では大人気になっていますが、世襲議員たちの鉄の扉を打ち破る勢力になるかどうか、それが見どころでありましょう。

 60を超えて「ひたすら後生を願って念仏すべき」なのにも係わらず、大臣の椅子の奪い合いに血道をあげている「政治屋」どもに、庶民の政治参加を旗印にしている「レイワ新選組」の殴り込みを期待しましょう。

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1974年生まれ47歳
 兵庫県宝塚市出身

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2021年10月4日        堰を切った大群衆

 昨日曜日、久しぶりの快晴の空です。東松山の森林公園のそばの墓参りに出かけました。8月のお盆にも9月のお彼岸にもご無沙汰だったので、滑川の農産物直売所で供花を買い求め三つある墓前に供えました。三つとは、義母一族、義姉一家、そして中沢家のものです。いずれ、私もここへ入ります。花を手向け、線香を灯し、クリスチャンだった義母の墓には主の祈りをズシ、義姉には般若心経、母と妻には念仏を30回唱え、さて、これから森林公園へ行こうとしましたが、驚いたことに、すべての駐車場は満杯、道路にまで車がはみ出しています。恐れをなして帰途に付き、昼食を摂ろうとファミレスに寄りましたが満員の大盛況。おまけに東京へ向かう関越道の下りは大渋滞、イヤハヤでありました。夕方のテレビでは東京周辺の道路の渋滞、デズニーランドの久しぶりの大行列などが映しだされました。

 堰をきったような人々の動き、その気持ち分かります。私もその内の一人でした。

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2021年10月3日         不便な思い

  自民党議員・自民党地方議員の選挙により、岸田文雄が第64代目の首相になりました。河野太郎が一時優勢でありましたが、決選投票では、河野太郎の議員票が岸田に流れ込んでのどんでん返しでした。裏で安倍晋三が動いた結果です。岸田の当選により広島県が輩出した総理は4人になりました。7人の山口県を追う勢いです。12代の加藤友三郎、38代の池田勇人、49代の宮澤喜一、そして64代の岸田文雄です。何度も噂された谷垣貞一は、身体を壊しているため蚊帳の外となりました。惜しい人物です。池田が作った宏池会を仕切っていたのに残念です。岸田文雄は開成高校から二度も東大を受験しましたが、果たせず、早稲田の阿呆学部(法学部)を出ています。当然ながら早稲田名物の政治家の子孫の集まり「雄飛会」のメンバーであったでしょう。早稲田に籍を置いた者は(私もそうですが)岸田総理の誕生を、内心、喜んでいるでしょう。だが、彼は、田中真紀子評する「冷凍透明人間」。どう贔屓目に見ても「身を捨てて国のために奉仕しよう」という情熱など感じられません。池田勇人のように「貧乏人は麦を食え」という思い切った発言が彼から出るなど有り得ないでしょう。「君子豹変す」を演じてくれたらいいのになあ、と期待するのは私一人ではないはずです。

 元朝日新聞常務取締役だった永井大三さんも広島出身です。広島をこよなく愛していました。池田勇人とも友人関係でした。ある日、新聞業界のことで時の総理池田勇人との密談が必要になりました。帝国ホテルの一室をとって永井さんが待ち受けていると、池田が一人で現れると思っていたのに、ぞろぞろと5,6人一緒にやってきたではありませんか。あっけにとられている永井さんに向って、池田さんは「警備の者が一人にしてくれんのや。トイレまでついてくるんやて、総理になぞなるもんやないで」と真顔で言ったそうです。今頃、岸田文雄にも警備が付いて不便な思いをしていることでしょう。

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        恒大集団本社へ押しかけ         「金返せ」と叫ぶ中国の若者

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2021年10月2日        簿外債務

 会社経営では代表取締役は会社の経理について、隅から隅まで目を通していなければなりません。それを怠り、成り行きに任せ、債務の発生に無頓着でいると責任を取らされ自宅まで押収されてしまいます。そのグループの子会社への出向であろうとも、会社法では厳然として代表者の私有財産まで没収に及びます。

 現役時代に一度、アコスという子会社へ、定年後は朝日学生新聞社で5年間、代表取締役を務めましたが、年間約1億の純利益を上積みしてきました。就任時に抵当権を設定された家屋敷も無事でした。社長というのは存外ヒマですから文学部出身の私は必死に経済・経理を勉強し、その仕組みを知るため、株取引のデイトレーダーまでやりました。地合いが良かったせいもあり、思いがけず儲けたお金で外国旅行も何回か出来ました。数字にも経済の仕組みについても強くなりました。

 今、世界の大きな話題は、中国の「恒大集団」の33兆ドルの負債をめぐっての処理方法についてですが、ここへきて、新たな事実が発覚しました。何と、33兆ドルの他に、簿外負債が17兆ドルもあることが明るみに出たのです。総額50兆ドルの負債!これがなぜ問題かというと、この負債処理に当たっては、簿外負債から始めなければならない、という会社法の規制があるからです。もう一つ困ったことに、日本の年金基金がこの集団に投資をしていることが明るみに出てしまいました。我々年金者はもとより、将来の受給者のために積み立てられている大金が、この集団の倒産のため莫大な損失を受けることが、確実になったのです。厚労省の年金担当者は過去にも何回か失敗を繰り返してきたことは周知の事実ですが、またしても、大きな失敗をしでかしてしまったのです。この事実は、まだ、公にはなっていませんが、いずれ、大問題に発展するはずです。株取引の格言に「まだはもうなり、もうはまだなり」とありますが、「まだはまだなり」として、売りの時期を失した厚労省、そして政府の責任は甚大であります。情けない思いで一杯です。

 【驚きました。「恒大集団本社」へ押しかけ「金返せ」と叫んでいる大群衆の写真がネットにあったので、それを掲載しようと探しましたが、見つかりませんでした。なお一層、驚いたのは、この集団に関する記事、写真、動画の一切がネット上から見事に消えていることでした。中国共産党による情報統制が始まっているのです。恐らく、全世界のネット上でこの件に関する記事・写真・動画の一切は削除されているでしょう。この手回しの良さには呆れます。情報統制を、何ら、悪びれもなく平気でやるのが今の中国なのでしょう。怒り心頭を発しています。笑ってしまったのは、私の「恒大集団」に関する「最近のエッセイ(73)」の記事が大きくネットで取り上げられていることでした。】

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