130)女性というもの

 30分遅れると 「30分も待たせて、何よ」 という。

 自分が30分遅れてくると 「30分ぐらい、何よ」 という。

 話の途中で口を挟むと 「ねえ、黙って聞いて」 という。

 何も言わないでいると 「ねえ、何か言ってよ」 という。

 ハヤリの服をきていくと 「軽薄すぎるんじゃない?」 という。

 同じ服ばかり着ていると 「ちょっと、ダサくない?」 という。

 そうだね、と賛成ばかりしていると 「あなたって、自分の考えのない人ね」 という。

 そうじゃないだろう、と反対すると 「あなたって理解のない人ね」 という。

 

                     129)違い

 女は、男が変わってくれるだろう、という期待を持ちながら結婚する。でも、男は変わらない。

 男は、いつまでも今のままでいて欲しい、と願いながら女と結婚する。でも、女は極端に変わる。 

 

                      128)借金

    「頼むから5万円貸してくれないか。3ヶ月後10万円にして返すから。このパソコンは質草だ」

    「いいともさ。はい、5万円」

    「ありがとう。恩に着るよ」

    「ところで、3ヶ月後とはいえ、いっぺんに10万円返すのは君も大変だろう。5万円持っているのだから、先に返しておいた方が、君も楽ではないかい?」

    「それもそうだ。はい、5万円返したよ」

 帰り道、彼はつらつら考えた。手元には一銭もない。しかも、パソコンを取り戻すために、これから5万円稼がねばならない。借金とは、何と可笑しなものだろう! 

 

                      127)補聴器

 難聴になった彼は補聴器を買いに行った。高くてとても手がでない。中身のない玩具の補聴器を買ってきた。たった1000円だったのに、それは素晴らしい性能を発揮した。付けていると、相手が大声で話をしてくれるのだ。

                      126)ひと言

    「お前ねえ、ワシは髪は長い方が好きだったんだ。断髪にするなら、ひと言云ってからにしなさいよ」  

    「あら、あなたが禿げになるとき、私にひと言あった?前の方が好きだったのに」  

 

                      125)広告

     〈警備員10名、至急求む〉の広告を新聞に出した会社が、その夜、泥棒に入られた。

 

                      124)タバコ

 タバコがまたまた値上がりした。税金である。業を煮やしたタバコ屋が看板を換えた。

     〈当店は税金を集める店です。ご協力いただいた方にはタバコを差し上げます〉

 

                      123)浴室

 イギリスのチャーチル首相が、アメリカのホワイトハウスに泊まり、入浴のため浴室へ入った。折悪しく、急用があって、ルーズベルト大統領が来てドアを開けた。スッポンポンのチャーチルがいた。

    「これは失礼」

    「いや、お構いなく。大英帝国宰相は、アメリカの大統領に対して隠すものは何もありません」

    「恐れ入りました。私も貴殿に対して隠すものは何もありません」

 ルーズベルトも浴室でスッポンポンになり、一緒に入浴した。両国の懸案事項は一挙に解決した。

 

                      122)プール

 〈鉄の女〉と評されるイギリスのサッチャー首相が、ホワイトハウスに泊まり、気晴らしにプールで泳いだ。そこへ、たまたま、レーガン大統領がやってきた。

    「私は珍しいものをみました。まさか、鉄が水に浮くとは!」 すかさず、サッチャーが言った。

    「浮くのは外国にいる時だけなのです。国のプールだとブクブク沈みます。ご覧にお出でになりませんか?」

    「いいでしょう。伺いましょう」

 イギリスのプールで、レーガン大統領の前で、サッチャーはブクブク沈んでみせた。

 両国の懸案事項は一挙に解決した。

 

                      121)老い(Ⅰ)

 老いとは、持っている手帳の電話番号が、すべて病院やクリニックの番号になること。

 

                      120)老い(Ⅱ)

 老いとは、人の名前を忘れ、続いて、人の顔を忘れ、次はズボンのチャックを上げるのを忘れ、続いてズボンのチャックを下げるのを忘れること。

 

                      119)違い

    「資本主義と共産主義の違いを端的に言ってください。はい、タクミ君」

    「人が人を搾取するのが資本主義で、人が人に搾取されるのが共産主義です」

    「その通り」

 

                      118)勇気

    「世の中で一番勇気のある女は?」

    「フライドポテトを一片だけ食べて、そこで止められる女だ」

    「世の中で一番勇気のある男は?」

    「「ピーナッツを一個だけ食べて、そこで止められる男だ」 

 

                    117)有名人

    「有名人には、パターンがあると思わない?」

    「思うねえ。彼らはまず、人に知られようとシャカリキに動き回る。その後は人に知られまいと、ダサイ帽子をかぶり、サングラスをかけて歩き回るんだよなあ」

 

                     116)国を動かす

    「ねえ、国を動かす方法を知らない人が、政治家や官僚になっていると思わない?」

    「思う、思う」

    「国を動かす唯一の方法を知っている人が、タクシーの運転手さんや、床屋さんや、美容院のマダムや、飲み屋のオヤジさんをしている、と思わない?」

    「思う、思う」

 

                      115)さぼる 

    「ねえ、仕事をさぼって最も楽しい時は、どんな時?」

    「それは、やらねばならない仕事が、山ほどある時だねえ」

 

                      114)べからず

 低開発国では、水を飲むべからず。

 高開発国では、空気を吸うべからず。

 

                      113)バーゲン品 

 バーゲン品とは、人をかき分け争って買ってはみたものの、ハテ、何に使おうかと買ってから考えるもの。

 

                      112)お金 

 〈世の中はお金がすべてだ〉 とは、お金の無い人のセリフ。

 〈世の中はお金がすべてじゃない〉 とは、お金をたんまり持っている人のセリフ。

 

                      111)プラカード

 ニューヨクの街角にプラカードを持った男が立っていた。

    〈妻がもし、天国へ行くようなら、私は別のところへ行きたい〉

 翌日からプラカードを持った女が、男の隣に立った。

    〈別のところへ行ったからといって、私がいないとでも思っているの〉

 

                       110)分娩室 

 産婦人科の分娩室の前で、男はソワソワしていた。すると、ドアーが開いて、慌てた看護師が、しばらくしてドライバーを持って入っていった。しばらくして、また飛び出してきて、今度はペンチとカナヅチを持って入っていった。ドンドンと叩く音が響いた。また、看護師が出てきて、今度はノコギリを持って入っていった。堪らなくなって、男は叫んだ。

    「一体全体、私の妻をどうしようというのですか?」

    「なに、先生のカバンが開かないのです」

 

                       109)格言

 井の中の蛙、大海を知らず   ――  胃の中のガン、大概は知らず

 子は、親の鎹(かすがい)    ――  子は親の滓(かす)かい

 老いて、益々盛ん         ――  老いて、益々アカン

 英雄、色を好む          ――  英雄、色々好む

 子を持って知る、親の恩     ――  子を持って知る、親の損

 敵は、本能寺にあり       ――   敵は、ホンの痔にあり

 四十にして、惑わず       ――  四十にして、窓際

 老いては、子に従え       ――  老いては、碁にしたまえ 

 中年老い易く、学成り難し    ーー  中年老い易く、ガクガクに成り易し

 親孝行、したい時には親はなし ーー  親孝行、したくないのに親はおり

 

                      108)耳

 パン屋の店先で「おーい、聞こえるかい?」と言ってみた。

 「何だよー」と声がした。食パンだった。彼だけ耳を持っていた。

 

                      107)ホントの話

 サウジアラビアでは、ノドが渇くと〈ノムナー〉へ入る。喫茶店である。

 ギリシャでは、お腹が空くと〈タベルナ〉へ入って食事する。

 オランダでは、そういう人ばかりではない人も集まる〈スケベニンゲン〉という温泉地がある。

 

                      106)のだ 

 民主党は、鳩山小沢からア菅野田

 

                      105)お天気

 明日は遠足だというのに、冷たい雨が降り続いている。先生が言った。

    「明日も雨だった場合は…」

    「先生、大丈夫です」タクミ君が大声で言った。

    「ボク、さっき気象庁へ電話しました。明日は遠足だからお天気にしてください、と頼みました。そうしたら、係の人が、はい、そうします、と言いました」

 教室中が笑った。しかし、翌日はこれ以上ないお天気になった。タクミ君はクラスの英雄になった。

 

                      104)お花見

 満開の桜の下で婦人団体がお花見をしていた。思わず言ってしまった。

    「ワーッ、ここはウバ桜が満開だ!」 すかさず声が返って来た。

    「何よ、オシッコだけの、役立たずのチン入者のくせに!」

 

                      103)新車

 75歳の私は、車は買い替えずに乗りつぶすのを主義としてきた。今のホンダの車もすでに10年乗っている。あと5年、80歳になったら新車にする積りでいる。息子に言った。

    「今度はどんな車にしようかなあ」

 奴は言いやがった。

    「新車は新車でも、電動車椅子だったりして」

 

                      102)持参金 

    「資産家の娘さんで、3000万円の持参金を付けてくれるというんだ。君、お嫁さんにしないか?」

    「写真を見てからきめようか」

    「写真だなんて、君、そんなに欲張っちゃいけないよ」

 

                      101)おなら 

 田舎のお婆ちゃんには、最近、気になることがあった。おならをしても臭くないのである。焼き芋を食べ、豆を食べておならををしても全然臭わない。モエちゃんが遊びに来た。

    「何で臭わないのか、心配で、心配で。お腹がどうかなったべか?」

    「分かったわ。今度出そうになったら私を呼んで」 しばらくして

    「あっ、モエちゃん、早く来てくんろ。出る、出る、出る…」といってぶっ放した。

    「ね、臭くないべした?」 鼻を抑えながらモエちゃんは言った。

    「お婆ちゃん、すぐ、鼻のお医者さんへ行きましょ」

 

                     100)相対性理論 

 高校生のモエちゃんはは、田舎のお婆ちゃんと温泉に行った。

    「モエちゃん、アインシュタインという人知ってっぺ」

    「知ってるわよ」

    「その人が言った相対性理論というのは、簡単に言うとどういうことなのかね」

    「温泉に入るわよね。気持ちの良いお湯の温度だと、10分入っていても1分ぐらいにしか感じられないでしょう。猛烈に熱いお湯だと、1分浸かっていても10分ぐらいに長く感じられるでしょう。そういうこと」

    「へー、そだなつまらないこと言って有名になったなんて、ハー、たまげたねー」

 

                      99)強(協)調

 〈七転び八起き〉という文字に出会って、中学生のモエちゃんは考えた。7回転んだら起きるのはやっぱり7回だ。一回多い。なぜだ?先生に質問した。

    「七重の膝を八重に折るがごとし」と先生は答え、逆に「その心は?」とモエチャンに問いかけた。

 モエちゃんは一晩考えた。

    「先生、分かりました。その心は〈友達と仲良くするがごとし〉です。つまり強(協)調です」

    「良く出来ました」

 

                       98)ボク一人 

 小学生のタクミ君が学校から帰って来た。

    「ママ、ボク今日はボクしか答えられない質問に、二つも答えることが出来ちゃった」

    「そうなの、それは良かったわね、で、どんな質問だったの?」

    「一つは、先生の机の中にカエルを入れたのは誰か? もう一つは教室のガラスを割ったのは誰か?という質問だったんだ」

 

                       97)弁護士

 アメリカには弁護士が多い。石を投げれば弁護士に当たる。しかも、法外な弁護料を請求する悪徳弁護士がほとんどだという。天国と地獄の間で、その境界線を巡って争いが起きた。天国の神さまと地獄の閻魔大王は互いに弁護士を立てることにした。神さまは天国中を探したが、アメリカの有能な弁護士に立ち向かえる者は一人もいなかった。僅かに日本の善良な弁護士がいるだけだった。これでは到底勝ち目はない。いま、閻魔大王は「この裁判の勝算は地獄にあり」とほくそ笑んでいる。一方、天国の神さまは、アメリカからの有能な弁護士が一人でも天国にやって来るのを、今か、今かと待っている。

 

                       96)財布

 事件は、その弁護士の巧みな弁舌によって一件落着した。事務所を訪れた依頼人は「これはホンのお礼です」といって包みを差しだした。弁護士が開けてみると新品の財布が入っていた。

    「高価な財布は有難いのですが、弁護料はもっと高額です。30万円は頂かねばなりません」

 しばらく考えていた依頼人は「そうですか、分かりました」といって、財布の中の100万円の札束から70万円を抜き取り、自分のポケットに入れて立ち去った。

 

                       95)鏡

 奥さまは、絵の展覧会へ行った。

    「この絵、素敵! ミレーでしょう?」

    「いいえ、奥さま、ベラスケスでございます」 係員が言った。

    「これはルノアールに間違いないわ」

    「いいえ、奥さま、セザンヌでございます」

    「これこそ、ピカソだわ!」

    「申し訳ございません、奥さま、ただの鏡でございます」

 

                       94)有る・無し

 1000年前、ペルシャの詩人オマル・ハイヤームは「ルバイヤート」で喝破した。

    「いつまで、有る・無しに悩んでいるのだ! いつまで、物欲に心を乱しているのだ!」

 「有る・無し」に徹底している国がある。赤道を挟んだアフリカの二国だ。〈有るジェリア〉と〈無いジェリア〉である。しかも、アルジェリアの首都は「アルゼ」、ナイジェリアには「アゲチャエ」という町がある。

 

                       93)尿管結石

    「尿管に石が詰まると猛烈に痛いね。苦しみながらひたすら水を飲んだ」

    「それが一番の治療法らしいね」

    「ある朝、石が膀胱へ落ちた。そのとき音がした」

    「どんな音?」

    「ストーン(石)とね」

    「僕も子供の時経験した。やっぱり音がした」

    「どんな音?」

    「ボッチャーン」

    「私の母も苦しんだことがあったわ。やっぱり、石が出たとき音がしたって」

    「どんな音?」

    「バァチャーン」

 

                      92)語学

 彼はフランス語の猛勉強を始めた。フランスへ語学留学する積りである。勉強するにつれ、古代フランス語とプロバンス語への理解が必要なことが分かってきた。それを始めると、ラテン語を自由に操れないと駄目なことを知った。それには、サンスクリット語への理解が不可欠になった。そのためには古代イラン語を勉強しなければならない。

 一年後、彼はフランス語を学ぶためにイランへ行った。

 

                      91)ホントカーニ 

    「あなた、ブランドに詳しかったわね。だったら、アルマーニは知ってるわよね」

    「知ってるさ、もちろん」

    「じゃあ、キルトーニは?」

    「知らないなあ」

    「じゃあ、オッジサンガーニは?」

    「?」

    「あなた、何も知らないのね。ワカガエルッテイは?」

    「? ?」

    「では最後、ホントカーニは?」

    「? ? ?」

    「最初から言うとこうなるの。アルマーニ着るとーニ、おっじさんがーニ、若返るッてィ、本当かーニ」

 

                      90)お風呂 

 幼稚園児のモエちゃんは、田舎のおばあちゃんとお風呂に入った。おばあちゃんは肥っていた。

    「おばあちゃんはお風呂の水が半分でいいね!」

 おばあちゃんはモエちゃんを温まらせようと、長い時間湯船に入れた。指がふやけてきた。

    「おばあちゃんのシワがうつった!」

 

                      89)メール

 結果が知りたくてメールした。「?」

 返信があった。        「!」

 

                      88)オショクジケン

 国会議員のオショクジケンが問題になった。確かに会議が深夜に及んだ場合は、無料のオショクジケンが出た。新聞が書いた。

    「議員の御食事券は汚職事件である!」

 

                      87)診察

 動物病院も経営する国会議員が発言中に、ヤジが飛んだ。

    「お前に何ができるか!獣医師のくせに!」

    「あなたを診察いたしましょう。明日お出でください」

 

                      86)メモ

 野田総理が国会審議中、深刻な顔でメモをとっているので、遠隔望遠鏡で覗いてみた。

    何もかも 総理のせいとは よくもまあ

    アラ探し つつくばかりで 日が暮れる

    あげ足を とるためだけの 質疑かな

    消費税 きまらぬ日々の 空回り

    消費税 きめて食いたし どぜう鍋

 

                     85)ストレス

 ガラスケースの中に、普通のケーキとラム酒入りのケーキを置き、10匹のハエを放して蓋をした。ハエはどちらかというと、普通のケーキの方に群がった。

 今度はハエ10匹を先に入れ、10分間中を棒で掻きまわしてから二つのケーキを入れた。10匹が10匹とも、ラム酒入りのケーキに群がった。

 ストレスにあうと、ハエもアルコールが欲しくなるのだ。  (3月20日朝日新聞社会面参照)

 

                     84)次元

 数学の時間、先生がタクミ君に質問した。

    「一次元は点です。二次元は?」

    「線です」

    「正解。では、二次元と三次元の間は?」

    「高さです」

    「正解。では、三次元と四次元の間は?」

    「時間です」

    「正解。では、四次元と五次元の間は?」

    「………給食です」

 

                     83)同窓会(メダカの学校の節で)

    ♪ 楽しい同窓会 あれから30年

    ♪ 誰が名士か 金持ちか

    ♪ 見わたす限り 赤い顔

    ♪ 皆なでハシャイで 夜が更ける

    ♪ 楽しい同窓会 あれから50年

    ♪ 誰が生徒か 先生か

    ♪ 見わたす限り 禿げ・しらが

    ♪ 皆なハナシで ふぁふぁふぁ

    ♪ 楽しい同窓会 あれから80年

    ♪ 誰もいないよ ただ二人

    ♪ 見わたす限り 墓の下

    ♪ 押されてホームへ 車椅子

 

                     82)昔と今

 20年前、外国人が評して言った。

    「日本は経済は一流だが、政治は三流だね」

 今、外国人が評して言った。

    「日本の経済は濁流だ。政治は漂流しているだけだね」

 

                     81)母乳 

 モエちゃんは高校を卒業し、医科大学を受験した。筆記試験のあと、大勢の教授を前にして、口頭試問があった。問題が出された。

    「牛乳と母乳を比べて、母乳の利点を挙げてください」

    「ハイ、えーと、母乳はまず清潔です。それに産地直送だから新鮮です。適温に温められていますので、加熱の必要がありません。しかも、どこへでも持ち運び自由です。映画館の中だって大丈夫です。最も大きな利点は、お金がかからないことです。そして最後に付け加えさせていただければ、牛乳よりはるかに魅惑的な容器から出てきます」

    「ワッハハハ…」

 モエちゃんは合格した。

 

                     80)ママッコ

  幼稚園児のモエちゃんは、東北のお婆さんの家へ行った。牛のことをベコッコ、猫をネコッコ、馬をウマッコと呼ぶのを知った。

     ♪ ベコッコ  ネコッコ  ウマッコちゃん

     ♪ わたしはママッコ  コケコッコー!

  と歌いながら、家中を跳ね回って遊んだ。

                     79)ベル

 一年生になったモエちゃんに、お母さんが聞いた。

    「モエちゃん、学校のベルはいつ鳴るの?」

    「休み時間の始まりと、終わりに鳴るの」

 

                     78)お風呂 

 三歳になったモエちゃんは、お母さんと田舎の家へ行った。お風呂を沸かそうと、お母さんは水道の蛇口を開けっぱなしにした。いばらくして、

    「モエちゃん、お風呂見てきてくれる?」

 トコトコと見に行ったモエチャンが、息せき切って戻ってきた。

    「ママ、大変だ、お風呂が足りない!」

 

                     77)念力

 念力をかければ何でもできてしまう、という近所で評判のタクミ君という中学一年生に、車を運転していた男が問いかけた。

    「君は何でもできるそうだが、念力をかけて私を車から降ろすことが出来るかい?」

    「出来るさー、出来たらどうする?」

    「1万円あげよう」

    「約束したよ」

 タクミ君は目をつぶって、何やら念じ始めた。

    「ダメだ、どうしても出来ない。反対なら出来るんだけど… 車から降りているオジさんを車に乗せるなら簡単なんだ」

    「しょうがないなあ。では、やってみて」

 男は、車から降りた。

    「はい、1万円!」

 

                      76)シラミ

 音楽家團伊玖磨と、芥川也寸志は戦争中新宿戸山の軍楽隊にいた。毎日、ヒマであった。机の上を虱が這いまわっていた。

    「虱だね」

    「うん、虱だ」

 そこは音楽家たちである。ドレミファで歌いだした。

    「♪ ソラソラ シラミ」

    「♪ ドラドラ シラミ」

    「♪ ミレドミレド シラミ」

    「♪ シー ♪ ラー ♪ ミー」 (合唱)

 

                      75)前借

 A氏のところで祝ごとがあった。B氏の祝儀袋には10万円と書かれていたが、入っていたのは1万だけであとは紙切れが入っていた。9万円前借とあった。

 B氏のところで祝ごとがあった。A氏の祝儀袋には10万円と書かれていたが、入っていたのは紙切れだけだった。9万円は貸金から、1万円は前借とあった。

 

                     74)飛びこめ

 髪はざんばら、化粧はめちゃくちゃ、おまけに寝巻姿の若い女性が、ゴミ収集車を追いかけた。

    「遅かったかしら」

    「まだ間に合う、急いで飛びこめ!」精悍そうな若者が言った。

    「あんたも、一緒ならね」

 五日後、また、ゴミ収集車を追いかけた。

    「遅かったかしら」

    「まだ、間に合う。二人分空けてあるぞ」

 しばらくして、二人はいい仲になった。

 

                     73)弱った

 彼は始めての海外旅行でオーストラリアへ行った。シドニーまで列車で行こうと、駅の切符売り場で「ツーシドニープリーズ」と言ったら、切符が二枚出てきた。前置詞はtoではなくforだったと思い返して、「フォーシドニー」と言い直した。切符が四枚でてきた。狼狽した彼は思わず日本語でぼやいた。「えーと、えーとなんだっけなあ」切符が八枚でてきた。逆上した彼は「さーていよいよ弱ったぞ」と口走った。切符が30枚出てきた。

 

                     72)ピカソ 

 世界的な画家パブロ・ピカソの本名を知る人は少ない。

 パブロ・デイゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセノ・マリア・デ・ロス・レメデイオス・クリスピノ・デ・ラ・サンテシマ・トリニダート・ルイス・イ・ピカソ。 余りに長いので、子供のころは略してパー・ピカソと呼ばれた。実際にパーであった。青年のころは、いつも飲んだくれていたので、パブ・ピカソと呼ばれた。

 全部の名前で呼ばれたのは、彼の葬式の時だった。

 

                    71)お陰

 新築祝いが盛大に行われた。

    「本日はありがとうございました。うちらだけの力で、できるものではありません。ご近所の皆さまのお陰です」

 出産祝いが盛大に行われた。

    「本日はありがとうございました。うちらだけの力で、できるものではありません。ご近所の皆さまのお陰です」

 

                     70)カレイ 

 老婦人は腰が痛くてたまらない。診察した医者は、おもむろに言った

    「カレイのせいです」

 老婦人はハタと気がついた。翌日から大好きなカレー料理をすべて断った。魚のカレイも三日に揚げず 

 食べていたが、それもやめた。一か月経った。腰はやっぱり痛い。再び行くと医者がおもむろに言った。 

    「加齢のせいです」

 

                     69)先物取引

    先物取引など、投機に手を出してはいけないときが、四つある。

    お金の余裕があるが、心の余裕がないとき

    心の余裕があるが、 お金の余裕がないとき

    心の余裕もなく、お金の余裕もないとき

    お金の余裕もあって、心の余裕もあるとき

 

                     68)歯医者のうた(草津節)

     ♪ おめえ噛めねか、おらもまた噛めね どっこいしょ

     ♪ なんで噛めねか こーりゃ このコンニャクが ちょいな ちょいな

          歯 どした!

          歯 どした! 

     ♪  噛んで、噛んでと言うても ムダよ どっこいしょ

     ♪  話ばかりで こーりゃ 夜が明けるよ ちょいな ちょいな

          歯 どした!

          歯 どした!

 

                     67)カンチョウ(デカンショ節で)

     ♪ デカンチョウ、デカンチョウを やってはみたけれど 

            よい よい 

     ♪ やっぱり硬くて、まだ、でない

            よーい よーい デカンチョウ

                     66)のぞみ 

    「大変だ、最終の〈ひかり〉にもう間に合わない!」

    「望みは、まだあるよ」

    「そうか、〈のぞみ〉があったか」

 

                     65)徒然草

 つれづれなるままに、日暮らしパソコンに向かひて、そこはかとなくアブラに思ひめぐらせば、あやしうこそものぐるほしけれ。アブラは少量こそよけれ。モノとモノとの摩擦を減らし、火灯し頃ともなればガソリンに変じて、ヒトとヒトとの和をはぐくむなり。アブラは大量になるにつれ、そのサガ疫病神に変するは、東西古今の常ならざるや。ヒトとヒトとの摩擦を生ぜしめ、国と国との間に血の雨を降らすはアブラの習いなり。

 遠き異朝のホルムズ海峡の、アブラを載せたる駕篭に向かひて、イランちょっかいが今まさに出されんとすと。ああ、やんぬるかな。

 

                      64)讃美歌461番

     ♪ 主われを愛す 主は強ければ われ弱くとも 怖れはあらじ

     ♪ わが主エス わが主エス わが主エス われを愛す

     〈大阪弁〉

     ♪ エスさん わてを好いてはる エスさん 強いさかいに

     ♪ わて弱うても 怖いことあらへん わてのエスさん わてのエスさん

     わてのエスさん わてを好いてはる

     〈東北弁〉

     ♪ エスさん おらをめんこいだど  エスさん ほら 強かんべェ

     ♪ おらがうすらバカでも おっかねーことねえべした おらのエスさん おらのエスさん

     ♪ おらのエスさん おらがめんこいだど

 

                     63)人だかり

 若い画家が、石原慎太郎に自分の絵を観て批評してくれるように頼んだ。展覧会場の出口で画家が待ち構えていた。

    「いかがでしたか?私の絵は、他の絵と比べて?」

    「いやー、じっくり観させていただきましたよ。他の絵も観たかったのですが、どの絵も人だかりで、一杯で……」

 

                      62)一度

 石原慎太郎に、若い作曲家が自分の作品を聴いてくれるように頼んだ。

    「いかがでしたか?ご批評をいただきたいのですが…」

    「こういう作品は、一度聴いたぐらいで批評できるものではありません」

    「ありがとうございます」

    「ただ、もう一度聴かせてほしいとも思いません」

 

                      61)ありがとう

 80歳になる石原慎太郎が、芥川賞選考委員を降りた。「選考に値しない作品ばかりになってしまった」と述べた。 受賞パーテイで、芥川賞受賞者が「ありがとうございました」とだけ述べた。司会者が「只今のご挨拶には万感の思いがこもっていました」と述べた。「万感の思い」の半分は「石原よ、やっと辞めてくれたか」であったらしい。

 

                       60)矛盾

 人間は、相矛盾する行動を同時に行える動物である。彼女は持参していた痩せ薬を一本目のダイエットコークで一気に流し込んだ。二本目のダイエットコークを飲みながらダブルチーズバーガーとLサイズのポテトチップスを食べた。三本目のダイエットコークを飲みながら、ビッグマック二個とフィレオフィッシュ三個を食べた。

 

                      59)ないもの 

    「60億の人間には必ずあって、アダムとイブにはないもの、なーんだ」

                              ―― おへそ

    「60億の人間には必ずいて、アダムとイブにはいないもの、なーんだ」

                              ―― 両親

    「60億の人間には絶対できなくて、アダムとイブだけにできたことは、なーんだ」

                              ―― 親が神さま

 

                       58)半分 

 日教組の定期大会に大勢の教員が集まって、不毛な議論を繰り返している。思い余った傍聴人の父兄の一人が、マイクに叫んだ。

    「ここにいる先生の半分は、教員不適格者だ!」

 怒った先生は、謝罪と訂正を要求した。

    「失礼しました。訂正します。ここにいる先生の半分は教員不適格者ではありません」

 

                      57)落書き

 昔、公衆トイレのボックスに入ったら、落書きがあった。「右を見ろ」とあるので「右を見たら、「左を見ろ」とある。左を見ると「後ろを見ろ」とある。苦労して後ろを見たら「キョロキョロするな、このド阿呆」とあった。

 最近、高速道路の公衆トイレのボックスに入った。「右を見るな」と書いてある。見るな、と言われれば見たくなる。「左を見るな」とあった。尚更、見たくなる。「後ろを見るな」と書いてある。やっぱり、苦労して後ろを見ると「安全運転適性合格」とあった。

 

                      56)よく出来た町

    「墓地へ行く道?ですか。この飲み屋街を出たところに病院があるでしょう。そこを右に曲がって50メートルほど行くと、老人ホームがあります。そこも右へ曲がります。左へ曲がっちゃいけませんよ。メモリアルホールですから。100メートルほど先に花屋さんと料理屋さんが並んでいますから、その前を左に曲がると、お寺の住職さんの家がありまして、その先に見えるお寺の裏が、町営墓地です」

 

                      55)ジュク

     「アタシが何で〈原ジュク〉に通うかというと、家がジュク族だからなの。お母さんは〈津田ジュク〉で、兄は〈慶応義ジュク〉でしょう。弟二人は〈英語ジュク〉と〈学習ジュク〉。それにお父さんは、毎晩、〈新ジュク〉なの」

 

                      54)スネ

 大学の入学式に親が出席する率は、極めて高いが、卒業式に出席する率は、極めて低い。

 原因は親の歩行困難症だった。スネが極端に細くなってしまって、歩けないのだ。

                      53)コイの季節

 池で泳ぎまわっている鯉に、春が訪れた。青年になった真鯉と、優雅で美しい錦鯉が恋仲になった。だが、家族に大反対され結婚は難しい。心中するしかなかった。互いに互いの鰓を重ね合わせ、激しく水から飛び出し、陸に身投げした。

 

                       52)後日譚

 鯉にも命の終わりはやってくる。清廉潔白に過ごしたものは、聖水で綺麗に洗われ〈鯉の洗い〉になった。恋に身を窶したものには、甘いシトネが与えられた。〈鯉の飴煮〉である。乱暴狼藉を働いたものは、ぶつ切りにされ、味噌と一緒に釜茹でになった。〈鯉コク〉であった。

 

                       51)表記 

 最近の出会い系サイトは、その筋のお達しにより、年齢確認の証明書を添付しないと登録できない。ただし、正確でさえあれば表記は自由である。

 〈35歳と121ヶ月〉の女性に、〈41歳と524ヶ月〉 の男性がメール交換を申し出た。

 

                       50)熱

    「夏は日中が長く、冬は日中が短いのはどうして?」

    「モノは熱せられれば膨らみ、冷やされると縮まるからだよ」

    「例外はないの?」

    「ないねえ。熱源を換えれば、皆なおんなじだ。アツくなれば膨らむし、サメてしまうと縮んだままだ」

 

                      49)暗黒

 橋下大阪市長は、市政懇談会の講師に3人の学者を招致した。

 一人は背が高く、一人は背が低く、もう一人は盲目であった。それぞれの学者が自己紹介した。

    「私は背が高い分、地平線の先の未来を見て、お話します」

    「私は背が低い分、より現実を踏まえて、お話をします」

    「私は現在の暗黒状況に、最も深い理解を持ちながら、お話します」

 

                       48)お手盛り

 大阪市役所の40人の職場へ、人事院の調査が入った。

    「恐れ入ります。該当の方、お手をお上げください。部長の方は5人ですね。課長の方、お手をお上げください…8人ですね。係長の方も…8人ですね。参事の方は…8人ですか。企画官の方も…8人ですか。これを合計すると37人、つまり、平職員の方が3人いらっしゃるという…」

    「いいえ、まだ3人漏れているよ」

 と片隅から声があった。局長と、局長代理と、局長補佐だった。

 

                      47)家でも

橋下市長は、今日も遅刻した職員に問いかけた。

      「遅刻の理由は何ですか」

      「つい、寝坊しました」

      「そうか、そうか。君は家でも寝ているのでしたね」

 

                      46)勤務中

 大阪市役所の職員は、勤務中に床屋へ行くことが慣習になっている。

 橋下市長は組合に通告した。

    「今後、勤務中に床屋へ行くことは、許されません」

 組合は反撥した。

    「髪は仕事中に伸びたものだ。勤務中に行って当然である」

    「分かりました。では、仕事中に伸びた髪だけを切りに行くことを許しましょう。ただし、仕事中に伸びた髪以外の髪まで切ったら、罰則規定を適応します」

 

                      45)額縁

    「立派な額縁を買いたいのですが」

    「承りました。絵のお値段と内容によって額縁を選んで差し上げますが…」

    「内容は墨一色、ただし赤い印鑑があります。購入価格は約八千万円」

    「?」

    「息子の、医学部卒業証書です」

 

                      44)広告

    「広告を出したいのですが」

    「承りましょう。どういうコピーですか?」

    《来たれ、受験生諸君、過去10年の合格実績、東大1万!早大2万!慶応2万!」

    「ちょっと、オーバー過ぎませんか? どちらの予備校で?」

    「いいえ 、湯島天神です」                 

 

                                             43)計算上

   現場「大変です。原子炉二号機の冷却水温度が82度まで上がりました。危険です」

  委員会「そんなことは計算上あり得ない。温度計が壊れているのだ。換えたまえ」

   現場「大変です。溢れ出た冷却水が海に流れ出し、その放射線量は1万デシベルを超えています」

  委員会「そんなことはあり得ないし、想定外だ。計測器を換えたまえ」

   現場「大変です。原子炉二号機がメルトダウンし爆発しました。映像を送ります」

  委員会「そんなことは計算上あり得ない。カメラが壊れているのだ。換えたまえ」

 

                                          42)関心 

 今になってみると、A子は、自分の結婚相手が、考古学者の今の主人でヨカッタと思っている。なぜなら、歳を重ねるごとに、彼は私への関心を高めている。                

 

                       41)激しく

    「結婚してくれ、結婚してくれって、私、激しく言われ続けているの」

    「凄いじゃん。相手はどんな男の人?」

    「ううーん、両親なの」 

 

                       40)逆も真

 岡本真夜が、芥川賞作家にしな垂れかかって言った。

    「ねえ、私と結婚して下さらない? あなたの優秀な頭脳と、私の綺麗な身体を持った子共を、後世に残したいの」

    「いいともさ。ただ、あなたのカラッポの頭と、私の貧弱な身体を持った子供が生まれて来たらどうする?」

 

                      39)違い

 田中真紀子と田中直紀は似たもの夫婦だが、違いが一つある。

 真紀子が何か言うと、言葉は、直紀の片耳から入って片耳へ抜けるが、

 直紀が何か言うと、言葉は、真紀子の両耳から入って口から出てくる。 

                      38)文学では売れない

 本が売れない。芥川受賞作品もサッパリだ。出版社は危機に瀕した。若い女性の注目度ナンバーワンのアイドルタレントを使った新聞全面広告や、テレビコマーシャルを出した。

    「ぼく、今度の芥川賞受賞作品に出てくる、S子のような女性と、結婚を前提としたお付き合いがしたいです」

 本は爆発的に売れ出した。

 

                      37)男親心(A)

    「お父さん、彼との交際……」

    「その話は、ひげを剃るまで待て」

 その日、父はひげを剃らなかった。

    「お父さん、彼との交際……」

    「その話は、ひげを剃るまで待て」

 次の日も、また次の日も、父はひげを剃らなかった。

 娘に、新しい恋人ができた。相応しい男のようであった。

    「お父さん、彼との交際…… おや、もう剃っちゃったのね」 

 

                      36)男親心(B)

    「お父さん、彼との交際……」

    「その話は、ひげを剃るまで待て」

 その日、父はひげを剃らなかった。

    「お父さん、彼との交際……」

    「その話は、ひげを剃るまで待て」

 次の日も、また次の日も、父はひげを剃らなかった。

 父は最後の日までひげを剃らず、毛むくじゃらで死んだ。婚期を逸した娘を残して。

 

                                             35) もの作り

 ものを作っていたジョルジュ・ブッシュの会社が倒産した。オーストラリア産とチリ産の葡萄酒で、自棄酒を飲んだ。翌朝、台湾製の目覚まし時計で目が覚めると、インドネシア製のベッドから飛び起き、日本製のシェーバーで髭を剃り、コロンビア産のコーヒーを淹れ、ブラジル産のバターでフランス製のパンを食べた。韓国製の洋服を着ると、イタリア製の靴を履き、日本製の車を運転してハローワークへ行った。

 中国製のコンピューターから自動音声が流れてきた。

    「アナタノゴキボウニ、ソエナクテ、ザンネンデス。モノツクリノカイシャハ、サクジツ、サイゴノイッシャガトウサンシマシタ。アメリカニハ、モウ、アリマセン」

 

                                              34) 発電

 東京電力が、企業向けの電気料金を四月から17%値上げする、と発表した。小企業経営者のA氏は頭にきた。

    「畜生、もう東電から電気を買ってやるものか。電気は自力で賄ってやる」

 持ち前の技術力で、自家発電装置を作ってしまった。装置は順調に作動した。ただ、女性のヌード写真を見せないと動き出さないという妙なクセを除いて。

 

                                           33)奇策

 歯舞、色丹、択捉、国後の北方四島は、ソ連政府からの援助が減少し、生活程度が極端に悪化していた。四島はもともと日本領土であったが、太平洋戦争の末期、ソ連が不可侵条約を終戦の二週間前に破って参戦し、もぎ取ったという理不順で忌まわしい過去がある。四島は極秘に住民の意識調査をした。豊かな日本の下に帰りたい、という希望が大勢を占めた。頑なソ連政府のメンツを重んじながら、どうしたら日本に帰属できるか、四島から選びぬかれた頭のいい指導者たちが秘密裏に集まった。

 そしてある日、四島はソ連政府に向かって独立宣言をした。吃驚仰天したソ連政府が軍隊を四島に差し向ける間もなく、《歯色択国》と名乗った四島は日本に対して宣戦布告した。日本は驚いたが自衛隊はあっても交戦権はない。更に驚いたのは、翌日、《歯色択国》は日本に無条件降伏してきたことだ。

 四島はソ連のメンツを損なうことなく、日本に帰属できた。いま、全国からの観光客で溢れかえっている。

 

                                       32) 国営シェイプアップセンター 

      体重を気にしている若いあなた!シェイプアップに挑戦しませんか!

     美しくなった身体を男性の目にさらしたくありませんか?

     カロリー制限されたヘルシー・メニューが待っています。

     インストラクターがエアロビックス並みの運動を指導します。

     あなたは、確実に痩せられます。

     シェイプアップ美人の誕生です。

     しかも、あなたの周りには独身男性がワンサカ。

     夜は、ルームメイトとのお喋りを楽しみましょう。

     洋服、生活費、お小遣いは国家があなたに用意しています。

     お申込みは

         国営シェイプアップセンター(旧婦人自衛官募集係)まで 

 

                      31) お粗末

    「はからずも、この度は防衛大臣を拝命し……」

 小池百合子大臣は53日で去った。

    「はからずも、この度は……」

 高村正彦大臣は30日で去った。

    「はからずも、この度は……」

 林芳正大臣は52日で去った。

    「はからずも、この度は……」

 一川保夫防衛大臣は、それでも、三か月続いた。

    「はからずも、この度は……」

 田中直紀防衛大臣が演説を始めると、自衛隊員の中から罵声が飛んだ。

    「はからずもでない大臣は、この国にいないのか!」

 

                        30) そりゃそうだ

    「農村の過疎化現象は、山口県と新潟三区が群を抜いている。知ってた?」

    「?」

    「強い政治家がいただろう。彼らは地元の山の中まで二車線の舗装道路を作ってしまった」

    「そうか。道が良くなりゃ、都会へ出やすくなる。罪作りなご連中だったのだなあ」

                       29) お酌

 山口県の団体客が、会津若松東山温泉で、芸者をあげて宴会をした。

    「オメさん方、どこからお出でなすったえ?」

    「山口県だ」

    「山口いうたら長州かえ?」

    「そうだ」

    「おーい、皆んな、この人らは長州だど」

    「エエーッ」

    「この敵やろう。白虎隊の仇を討つのは今だど。煮え湯をお酌してやらっしゃい」

 

                            (山口県朝日会旅行で実際に体験しました)

 

                        28) 注意書き

 

    「映画館や劇場で、ポテトチップスや煎餅を売っているね」

    「それがどうした」

    「注意書きがそれぞれ貼ってある」

    「?」

    「しばらく舐めて、柔らかくしてから、お召し上がりください」

 

                       27) 広さ

 

    「200年前、劇場の女性用トイレは、ほんの片隅にあった」

    「50年前、男性用、女性用の広さは、ほぼ、同じになった」

    「今は、女性用の方が三倍広い」

    「50年後、劇場の男性用トイレは、ほんの片隅になるらしい」

 

                       26) ノー

    「ノー・ポイ運動、ノー・モレおむつ、ノー・パン喫茶、ノー・モレ原発……」

    「ノー・サツデパート」

    「なんだ?それ?」

    「支払いはカードオンリー」

 

 

                                                  25) 二つ

    「すし屋のカウンターに座るだろう。注文すると二つずつ出てくる。なぜ、二つなんだ?」

    「片方は〈ス〉というものだ。もう一方は〈シ〉だ。両方食べないと〈すし〉にならない」

 

 

 

                        24) 次

    「資本主義の後に来る経済は何だろう?」

    「数量統制経済だ。ヒトを増やさない。自然資源も割り当てる。カネの使い方も制限する」

    「なんだ、我が家でやっていることと、おんなじだ」

 

 

 

                                          23) 同じ

    「資本主義が崩壊しそうだって?」

    「貨幣、土地、労働を商品化した罪だ」  

    「社会主義も人気がない」

    「土地、労働、資本を商品化できなかった罪だ」

    「結局、ヒト、モノ、カネじゃないか。我が家の悩みと、おんなじだ」

 

 

 

           22) できちゃった

              昔は恥ずかしくてできなかったが、いまは 〈できちやった婚〉 が多い。

    「皆さま、盛大な拍手をお願いします。シンロウとニンプのご入場です」

 

 

 

                                          21) 睡眠

    「眠れなくて……」

    「羨ましい。24時間丸々使える」

    「だから昼間、ボーとしている……」

    「ますますいいじゃん。ボーとしたいために、毎日あくせく働いている」

 

 

 

                                         20) そういうものに

    雨にも負けず 風にも負けず

    雪にも 夏の暑さにも負けぬ

    丈夫な体をもって生きたあとは

    野原の 松の林の陰の

    小さな 茅葺の小屋にいて

    医者にはかからず ヘルパアーの世話にもならず

    玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べたあと

    横になった途端に

    自分でも気がつかないうちに死んでいる

    そういうものに 私はなりたい

 

                                          19) 政治生命

 政治生命を占って良く当たる占い師のところへ、細野豪志がやってきた。

    「20」

    「20年ですか、ありがとうございます」

 

 野田総理がやってきた。

    「20」

    「20年でしょう?」

    「いいえ、単位は月です」

 

 石原慎太郎がやってきた。

    「20」

    「20年でしょう?」

    「いいえ、単位は日です」

 

 小沢一郎がやってきた。

    「20」

    「20年でしょう?」

    「いいえ、19、18、17、16 ……」

 

 

                                         18) リベンジ

 昔、ウサギはカメとの競争に敗れ、大恥をかいた。

 リベンジのチャンスを狙っていた。脚力も鍛え、前回の負けレースの原因も究明し、カメに申し込んだ。

     「いいとも。コースは前回とは反対に、山の頂から麓までとしよう」

 脱兎のごとく飛び出したウサギがチラっと見たものは、相変わらずのカメのノロノロだった。

    「オレは必ず勝つ。なぜなら、前回の昼寝を反省した以上、今回はあり得ないからだ。いまのオレに欠けているものはない」

 その瞬間、ウサギの傍らを、一個の円盤が猛烈な速さで転がり落ちて行った。

 ウサギに欠けていたのは、想像力だった。

 

                      17) ジャリジャリ

 

    「昔、若くて未熟なタレントを、ジャリタレと呼んだ」

    「いまでもあるよ、その言葉」

    「しかし、ジャリタレにはシッカリやれよ、という応援の意味もあった。いま、テレビに出ずっぱりの百人を超える 〈吉本〉のタレントを何と呼ぶか知っているかね?」

    「教えてくれ」

    「ジャリジャリタレ、と識者たちは密かに呼んでいる」

    「ジャリがダブルのか?」

    「砂を噛むとジャリジャリするだろう? 彼らが出演した後は、砂を噛んだ後味しか残らない」

 

  

 

                       16) 面白い

 面白くないことを、面白くして放送するのがテレビ。

 面白くないことを、面白くされて放送されるのは、甚だ面白くない。

 面白くないことは、面白くないまま放送するのが面白い。

 

 面白くても、面白くなくても、そのまま記事にするのが新聞。

 それ故か、新聞が読まれなくなっている世間の風潮は、甚だ面白くない。

 

                                         15) お仕事

 芸能週刊誌が大々的に伝えた。

    「AKB48の女の子が 《青年実業家》 と婚約し、記者会見して 〈これからもお仕事に精だします〉 と健気に語った」 と。

 実態は、ゴト師の父親とパチンコ屋に来ていた娘を、そこのボンボンが見染めたに過ぎない。仕事とはパチンコ台のクギを調節することだった。

 

                      14) イカサマ

    「人相の卑しい〈吉本〉のタレントがテレビに出ずっぱりじゃないか」

    「そうとも。しかも彼らは、〈仕事〉を一生懸命にやっていると自賛している」

    「冗談言うな。悪ふざけのお遊びをやっているだけじゃないか!」

    「そうとも。彼らはヤクザだ、ヤクザ以下だ」

 (ヤクザ登場)  

    「おっと、間違えないでおくんなさい。わいらはお遊びはするが、〈仕事〉は滅多にしませんぜ。お教えいたしやしょう。ヤクザの世界の〈仕事〉とはイカサマのことで……」

    「そーか。〈吉本〉の芸人はイカサマ野郎ばっかりなんだ」

 

                                        13) 一 球

 ダルビッシュ有投手が、アメリカのレンジャーズと契約した。六年で六〇億の報酬だという。仮に、一年間に10試合に登板し、一試合100球投げたとして計算すると、一球あたり100万円だ。

 捕手たちは黙っていなかった。

    「一球100万円の球をタダで捕球するわけにはいかない、分け前を寄こせ」

 球団はこれを刎ねつけた。

 新しいシーズンが開幕した。ダルビッシュが登板すると捕手がいなくなるので、彼は投げては走って行ってそれを拾い、戻ってきてまた投げるという動作の繰り返しとなった。ブーイングを鳴らす観客はいなかった。捕手に同情したからだ。

 

                                       12) 不必要

 「いいか、必要なものは、セールスマンがいなくたって売れるんだ。不必要なものを売るために、セールスマンがいるんだ」

 

                                         11) 二 冊

   「歳時記を知っているだろう? 和歌や俳句で使う」

   「歳時記の季語が入らないと、俳句にならない」

    日本列島は南北三千キロに延びているのに、歳時記は一冊だ」

   「なるほど」

   「北の稚内では一年中泳げないのに、南の波照間では一年中泳げる」

   「季節感が全く違うわけだ」

   「そこで、文科省は歳時記を二つに分けることにした。北国用と南国用」

   「いつから?」

   「四月一日」

   「で、真ん中の東京はどちらを使うんだ?」

   「どちらでもいい。ただし、作った俳句には、どちらの歳時記に拠ったか、明記することになった」

 

                                       10) 幸せな時

 

    「お母さん、どうして結婚式のとき、女の人は白いドレスを着るの?」

    「それはねえ、これから幸せな時が始まるからなの」

    「じゃあ、どうして男の人は黒い服を着るの?」

    「それはねえ、幸せな時が終わってしまうからなの」

 

                                           9) ?

    「北極にいて、四本の足が長くて、首も長くて、全身が黄色い動物 なーんだ?」

    「わからない」

    「迷子になったキリン」

 

                                          8) 棒

 失恋したA子は、心を閉ざしてしまった。出歩くこともなくなった。毎日が辛かった。それでも節分になったので、コンビニから豆を買ってきた。

    「鬼は外、福は内」

 鬼が現れた。

    「あんた、辛そうな顔して、毎日何しとんねん。福が欲しかったら、豆に外へ出なアカンがな。外へ豆を蒔かなぁ新しい芽は出えへんでぇ。これを置いていくさかい、使いなはれ」

 鬼は一本の棒を置いて去った。それは、閉ざされた心の扉を開ける鍵だった。A子は外へ飛び出した。新しい出会いが待っていた。

 「辛」に「一」を加えると「幸」になる。

 

                                        

                                         7) 仲

 

 A夫人とB夫人は、お互いに仲が悪い。

 美容院で髪をセットしてもらったA夫人は、ばったりB夫人に逢った。

    「あーら、奥様、どちらまで?」

    「ちょっと、美容院まで」

    「お気の毒だったわねえ。美容院がお休みで」

    「・・・・・・・・・・」 

 翌日、B夫人は歯科医に行った帰りに、ばったりA夫人に逢った。

    「あーら、奥様、どちらまで?」

    「ちょっと、病院まで」

    「駅前の産婦人科病院でしょう? おめでとうございます、ご懐妊で」

    「・・・・・・・・・・」

 

 B夫人はお腹の脂肪を気にしていた。

 二人の仲は、更に・・・・・・・

 

                                         6) 船 長 (これは実話です)

 4200人乗りのイタリアの豪華船が、出港後3時間足らずで岩礁に乗り上げ、沈没した。最後の船客が救助されるまで、船と共にあるべき船長が、途中で陸に上がってしまったので、いま、世界中の顰蹙(ひんしゅく)を買っている。船長の名はズッコケーノ。

 沿岸警備隊との電話のやりとりが公表された。

    「君は船に戻れ! そして、指揮をとれ!」

    「何人死んだのかね?」

    「今のところ一人だが、それを確認するのが君の役目だろう」

    「戻る船がない」

    「とにかく、戻れ!」

    「暗くて、何も見えない」

    「それとも何か? 家に帰りたいとでもいうのか?」

    「できればそうしたい。駅へ出る道を教えてくれないか?」

 

                                         5) 条 件

 有名な映画監督が天国へ着いた。

 役人がやって来た。

    「早速、映画を作ってもらいたいのだが」

    「疲れているので、しばらく休ませてください」

    「君はなんだなあ。ここでの映画作りに勘違いがあるようだな。ここでは何でもできる。黒沢監督を助手にしてもいいのだぞ。葛飾北斎にコンテを描かせてもいいのだぞ。何なら、ローマからミケランジェロを呼び寄せて、映画のセットを作らせることもできる。アメリカからエリザベス・テーラーを呼んで使ってもいいのだ」

 映画監督は目を輝かせて叫んだ。

    「やりましょう。是非、やらせてください」

    「ただ一つ、条件があってな。主役に〈若い娘〉を使ってやって欲しいのだよ。大きな声では言えないが、その〈娘〉は 《神様》 のこれでなあ」

 役人は小指を立てて、ウインクした。

 

                                         4) 痛 い

 

 牧場の牝牛に、雄の蝶が恋をした。

    「ねえ、お願いしていい?」

    「いいわよ」 

 鷹揚な牛は尻尾を上げた。

 後ろに回った蝶の羽ばたきがくすぐったくて、思わず二、三歩前によろめいた。

    「あっ、ごめん。そんなに痛かった? 今度は優しくするね」

 

                                         3) 介 入

 アメリカがイランと戦争を始め、韓国と日本に参戦の要請が極秘にあった。「韓国はどうするだろう」と日本の首相は韓国の首相に暗号電報を打った。「我が国はKINTAMAでゆく」と返答があった。頭の固い首相にはさっぱりわからない。古参の外務省役人が首相の耳元で囁いた。

    「協力すれども、介入せず」

 

                                         2) 注 文

    「ウエイターさん、注文します。石みたいに固い茹で卵と、冷たいベーコンと、黒こげのトーストと、薄くてぬるいコーヒーをください」

    「当店では、そのようなご注文は……」

    「あら、できないの? 昨日はできたじゃない」

 

                       1) 語 学                                                                            

 言葉をしゃべる非常に利口な犬がいた。飼い主はもっと勉強させようと、東京の学校へ語学研修に出した。

 夏休み、犬が戻ってきた。

    「お帰り、どうだった?」

    「三か国語しゃべれるようになりました」

    「それは立派だ。やってみてくれる?」

    「ヒヒーン、カアカア、コケコッコー」

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