2018年5月18日 岸井さんの死を悼む
西条秀樹(63歳)と星由里子(74歳)が旬日を経ずして亡くなったので、世間は大騒ぎをしています。大杉漣(66歳)、金子兜太(100歳)も亡くなりました。中でもショックだったのは内田康夫(85歳)です。奥さんの早坂真紀さんがどんなに嘆かれているか、察しがつくからです。この夫妻は大金を投じて豪華客船による100日間の旅を二度もしています。奥さんはその旅行記を二冊の本にしました。これが実にいい。内田の作品群より遥かにいい。余りにいいので三、四回読みました。奥さんは軽井沢で「軽井沢のメイ」という洒落たカフェを開いています。内田よりも名文家である早坂真紀さんにいつかはお目にかかりたい、と思っています。
何よりもショックだったのは毎日新聞主筆を務め、TBSテレビの「サンデーモーニング」の常連だった岸井成挌さんの死です。その的確な論評は多くの人の賛同を得ていました。彼ほどのジャーナリストはもう現れないのではないでしょうか。惜しまれて、惜しまれてなりません。岸井さん、ご苦労さまでした。そして、有難うございました。
2018年5月15日
註 4月4日から5月1日までタイ・チェンマイでした。 いろいろなことがありましたが、パソコンの調子が今一つだったので、書き続けることが出来ませんでした。追々、書きこんで参ります。特筆すべきはチェンマイから2時間の距離のマレーシア・クアラルンプールへ行ったことでしょうか。エアーアジアに初めて乗ったのですが、もう、乗りたくないという経験もしました。
帰ってきたら痛風を発症してしまいました。尿酸値は7.0以下に抑えていたのに7.7になっていました。足の痛みを薬で抑え、5月10日は 長野高校の同級生と、5月12日は朝日時代の後輩たちとゴルフをしました。帰国後、半月を経て我に返り、パソコンに向かっています。 平にご容赦。
イエルサレム問題
イスラエルにはエレアビブとイエルサレムの都市があります。主だった国の大使館はテレアビブにあります。領事館と一緒になっています。領事館とは自国民の便宜を図るためのもの、大使館は諸外国との交流のために存在しています。
イスラエル周辺には530万人を数えるパレスチナ人がいます。1948年イギリスがこの地の統治を国際連合に委ね、イスラエルに土地を与え、国家の成立を認めるまではパレスチナ人が住んでいました。その時のドサクサにまぎれて、エジプトとレバノンが土地を横取りするという不法行為もありました。
いわば原住民のパレスチナ人には生活能力がありませんから、土地の収奪はイスラエル人にいいようにされます。パレスチナ人の土地を金で横面を引っ叩き、収奪しまくりました。イスラエル人は、「正常、且つ合法的に土地を購入してきたのだから、何らやましいことはない」と主張しています。一方、生活能力のない、530万の哀れなパレスチナ人は、アメリカが大部分の金を出している国連の援助で何とか生きている始末。その能力差において、歴然たる違いがあってみれば、イスラエルの土地収奪がパレスチナ人をして地球の外に追いやられないという保証はありません。そのため、アラファトという傑物がパレスチナの議長であったとき、「オスロ合意」が結ばれ、パレスチナの建国が国際的に承認されたにも拘らず、今もって建国できないでいるのです。それは、イスラエル人とパレスチナ人との能力差に起因している、と言っていいでしょう。
でも、世界各国は弱者パレスチナの味方です。世界は昔からユダヤ人を好ましく思っていないからです。だから、イエルサレムを分断し、片やイスラエル、片やパレスチナの首都となることを期待し、「パレスチナ国家が確定するまでは刺激的行動をとらない」というのが暗黙の了解でした。
ところが、それを破ったのがアメリカです。歴代の大統領は自重し続けてきたのに、ドナルド・トランプが「アメリカ大使館をイエルサレムに移す」と宣言し実行に移しました。パレスチナ人の大暴動が起き2000余人が負傷し、60余人がイスラエル側の発砲で死にました。フランス、イギリス、ドイツを始め、世界各国の殆どの国が反対声明を出しました。
これを主導したのがトランプの娘婿です。熱烈なユダヤ教徒です。加えてアメリカのキリスト教徒の半数近くが親ユダヤ教徒だという現実があります。アメリカ議会のロービーストのほとんどがユダヤ人であるのは論を待ちません。彼らはイスラエルのネタニヤフ政権を異常なまでに支持しています。
キリスト教徒の聖典は新約、旧約聖書ですが、ユダヤ教徒の聖典は旧約聖書とタルムードという紀元後200年余り後に表された古文書です。特長はイエスキリストを預言者としては認めるものの、救世主とは認めていないところにあります。
一方、イスラム教ですが、その起源はずっと後の6世紀ごろになります。「右手に剣、左手にコラーン」を標榜し、教祖ムハンマドは己に逆らう者を滅多やたらに殺戮し、地位を固めて来ました。そして21世紀のいま、イスラム教徒は日に2万人ほど増え続け、キリスト教徒や仏教徒、ヒンズー教徒などを凌駕しつつあります。
イエルサレムの市中に約1キロ四方の聖地とされる一郭があり、ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒が金曜、土曜、日曜にそれぞれが集いそれぞれの敬虔な祈りを捧げます。イスラムの日は当然ながら拡声器からアザーンが鳴り響き、ユダヤ教徒はシルクハットに黒装束でのお出ましです。嘆きの壁の隙間には祈りの紙切れがこれでもかと差しこめれるようです。
一方、ユダヤ教徒もキリスト教徒も旧約聖書を経典としています。驚くべきは旧約聖書こそは地球の預言書と云うべき様相を呈していることです。2500年ほど前に書かれたものですが(日本書紀や古事記は1350年ほど前です)世界の推移についてことごとくその予言が当たっています。
中でも、旧約聖書の中の「エゼキエル書」の預言には恐るべきものがあります。2000年間にわたるユダヤ人の迫害を予言し、建国まで予言しています。そして、やがて、イスラエルの真北に位置する国(ゴブ)がトルコとイランをうち連れてイスラエルを襲う、と書かれています。イエルサレムと北極点を結ぶその直線上に位置する都市はどこでしょうか? ロシアのモスクワなのです。その戦いではこの世とは思われぬ〈火の玉〉が飛び交うと書かれています。ロシア、トルコ、イランの連合国がイスラエルを狙い撃ちする中東戦争が予言されているのです。
そのイスラエルへ、私は来年の1月30日、シンガポールの日本人教会の牧師さん率いる団体の一員に加えていただき、行ってまいります。既に、20人程の参加希望者があるそうですが、参加者はそれぞれの地からバンコックに集まり10時間ほどかけて同じ航空機でイエルサレムへ向かいます。イエスが十字架に架けられたゴルゴダの丘、嘆きの壁、ガリラヤ湖、死海の書の発見現場などを訪れるようです。思えば、長野高校一年の時長野教会を訪れ聖書に接してから、かれこれ65年余りが経過しました。大学卒業論文は「死海の書」と波多野精一の「時と永遠」でした。2000年前にイエスが実際に歩いた地を訪れることの喜びは、何とも、筆舌に尽くしがたいものがあります。
宗教では、それぞれの教祖が生まれ、育ち、活動した土地に回帰したいという願望を否定することは出来ません。チベットでは五体倒置と難行の末に聖地に到達するのを無上の喜びとしています。四国八十八箇所めぐりも同じです。白装束を纏い「同行二人」と墨書された杖を持ち、最後は高野山の空海の即身成仏した寺を詣でます。
イスラムの聖地はサウジアラビアのメッカ・メジナです。白布だけで身を纏った巡礼者の数は毎年200万人を超えるそうです。メッカには一度に100万人が礼拝できる円形で5階建ての礼拝所があります。その中央に置かれているがカヴァア神殿です。四隅を金で縁取った真っ黒な四角い函です。驚いたことにその中は空っぽです。偶像崇拝はイスラム教が最も嫌うものだからです。経典はクラーンといって膨大なものです。聖職者はその文言をすべて暗記しているやに聞き及びます。日の出から日の入りまで、約一か月間、食べ物はおろか水も飲んではいけないラマダン。日に5回はメッカの方向に向かって、立ったり腹ばいになったり、それを何回となく繰り返すイスラム特有の祈りの形態。宗教は実に様々な形態をとって民衆を駆り立てます。
2018年4月13日 膿を出す
タイ・チェンマイの森の中の一軒家にいても日本のテレビは見られます。ただし、月額1000バーツ(約3000円)を払わねばなりません。その上に800バーツを上乗せすれば日本のあらゆるチャンネルの録画もOKとなります。
モリ・カケ疑惑でかまびすしい上に、元首相秘書官が「これは首相案件」であると言った、言わないが問題になっています。当然ながらこの秘書官はダンマリを決め込んでいますが、これに対して安倍はなんと言ったか。「膿を出し切って」とノタマったのです。
自分こそが膿ではないですか! これを人ごとのように言うこの神経は何なのですか! 驚き呆れてしまいました。
日本から4500キロも離れたところにいると、離れているが故に日本のことが良くわかります。「ああ、日本は世界の趨勢の中で取り残され始めているなあ、政治の劣化は覆いようもないにしても、安倍内閣の支持率が今なお三割もあるとはどうしてだろう。日本国民の意識水準も劣化し始めているのではなかろうか」と思えてならないのです。
冬季オリンピックでの南北合流、北朝鮮金正恩の中国電撃訪問、アメリカの関税引き上げ、中国の反発などなど、日本外交はその片鱗をさえ掴むことができませんでした。そして今度はトランプの決断によるシリア攻撃です。これはシリアに加担しているロシアと真っ向勝負することになります。単なる空爆とは違ってイギリス、フランス、ドイツを含めての武力行使が予想されるのです。となると、イスラエルとイラン、サウジアラビアとトルコはどう出るのか?
私は、中東を基点とする第三次世界大戦の兆候を感じてなりません。そんな世界のきな臭さを前に日本はどうすればいいのでしょうか? 日本はますます世界から取り残されていくのでしょうか?
安倍晋三よ、お前さんはもう沢山だ。お前さんこそが膿なのがどうして分からないのかね。過日、お前さんはナベツネの招待と称して後楽園で野球見物しましたね。そのとき貴賓室で横に並んだ92歳のナベツネがお前さんに引導を渡しましたね。「読売も反安倍に舵を切る」と。さしものナベツネもお前さんを支えきれなくなったのですよ。それすらも分からないとは、お前さんの脳みそは、、、全く、、、イカレにイカレてしまったのかね。げに、権力とは恐ろしい。
2018年4月10日 小坂忠音楽会
ロックシンガーとして一世を風靡した小坂忠が、今は全く大きな変身を遂げ、世界的に活動しています。その音楽会が昨夜タイ・チェンマイのホールでありました。この音楽会は毎年おこなわれていて人気があるせいか、2000人収容のホールは、ほぼ、満席でした。日本人でタイ人を妻にしている、ある篤志家の計らいで、この音楽会が無料のせいもあったでしょう。
壇上に7人の男女の登場です。第一バイオリン、第二バイオリン、チエロ、ピアノが女性です。ビオラが男性で、バリトン歌手の加賀清孝、そして今はゴスペルシンガーとなっている小坂忠です。
ドボルザークのスラブ舞曲を皮切りにタイ・プミポン国王が作曲した歌を加賀清孝がタイ言語で歌い、小坂忠はゴスペルを歌い上げました。そう、彼はキリスト者になり、所沢秋津の日本聖書教会の牧師になり、今はその牧師職を彼の奥さんに委ね、ゴスペルシンガーとして、伝道者として、世界中を飛び回っているのでした。彼が率いるこの弦楽合奏団は30年も同じメンバーで続いているとのこと、こういう生き方もあるんだなあ、と目を覚まされる思いをしました。
翌日の日曜日、この同じメンバーが、われわれのチェンマイ日本語キリスト教会の隣の中国人キリスト教会の合同礼拝に加わりました。われわれの教会は中国人教会の別棟の三階を借りているのですが、初めて入いった中国人教会は500人は収容できる立派なものでした。グランドピアノまでありました。中国人、タイ人、日本人が300人ほど集い、共に賛美歌を歌い、弦楽アンサンブルに聴き惚れました。久しぶりに聴く生の音は新鮮そのものでした。そして、牧師でもある小坂忠の説教が始まりました。感動しました。
彼は昨年の8月、大腸癌と胃癌と胆嚢摘出手術と受けます。その手術は10時間余にも及び、術後10日間、彼は痛みに苦しみます。その激しい苦痛の中で彼は、彼に日夜付き添う看護婦にイエスの話をします。彼女はやがて泣出し、教会に通うようになり、洗礼を受けるまでになりました。小坂はこの顛末を淡々と話し、「神は、死ぬ苦しみの中にいる私を用いてまで人を愛しておられる」と結びました。
「自分」という器を去り、「自分」のすべてを神の愛の受け皿にし、人のために尽くしている典型は、十字架を担いでアメリカ大陸を横断しているアーサー・ホーランドですが、小坂忠もその一人であることを知りました。
私は、自分を何とかしなければなりません。
2018年4月6日 花 粉
10年以上前の3月ごろだったか、埼玉の長瀞でゴルフをしたことがあります。杉木立の只中にグリーンがあるゴルフ場で、どのホールもスギ花粉が充満し霞んでいました。くしゃみを連発し、ペットボトルの水で目を洗いながら切り抜けましたが、案の定、スコアは散々でした。余りに癪だったので自暴自棄を起こしました。花粉の付いた杉の芽や葉っぱを噛み砕いて飲み込んだのです。いかにその晩の症状が酷かったか…
ところが、どうしたことかその翌年、くしゃみはおろか、目も痒くならなかったのです。花粉症に対する免疫抗体ができたに違いない、と思うことにしました。
奥多摩の旅館に泊まった翌朝です。駐車している車の屋根や窓が妙に色づいています。黄色っぽい粉末が積もっているのです。始めは中国大陸から飛来する黄砂か、と思いました。違いました、花粉だったのです。それにしても夥しい量です。ウフェーとなりました。奥多摩の木立の大半が杉なのです。そしてこの地区の住民の皆さんの大変さに思いをいたしました。
ところで、私は一咋昨日の4月4日からタイ・チェンマイ入りをしています。杉や檜は一本もありません。だから花粉症など起こりえません。今年の日本の花粉の飛び散る量は異常だそうですから、迷惑を蒙っている人々には全く申し訳ない次第です。
朝、といっても午前6時(日本時間8時)でも夜は明けません。6時半ごろようやく白みがかり、7時、木の間隠れに朝日が顔を出します。7色の光線を浴びながら、今日も生きられる喜びを感謝し、かなり広いアプローチの落ち葉を掃き清め、散歩に出ます。仮住まいがドッケオという昔の大隔離病院の中の一軒家なので、歩き回るスペースには事欠きません。園内には数百本のぶなの大木が枝を張っています。幹の直径2メートル高さ30メートルを超えるものばかりです。そして地には数え切れない熱帯植物が色とりどりの花を咲かせています。ブーゲンビリア、トランペット、リラワデイなどなど。そしてこの地方の特徴は、樹木にまで花が咲くのです。赤や黄色や紫色の花が大木に彩りを添えます。今盛りなのは「ゴールデンシャワー」です。黄金色のブドウの房のような花ぶさが枝が見えないくらいに咲き誇ります。チェンマイの郊外に、街路樹のすべてがこの樹木というところがあります。それはそれは圧巻です。
暇に任せてキーボードを鳴らし始めると小鳥たちが寄ってきて、やかましく加わります。数種類の蝶が飛び交い、リスまでチョロチョロします。
花粉でお苦しみの東京の皆さんには、誠に申し訳ない次第です。
2018年3月31日 奥多摩路
練馬の関越インターに入り、鶴ヶ島から圏央道、そして青梅で下り、奥多摩街道を北上します。都内の桜は散り始めましたが、青梅では満開でした。翌日、奥多摩湖に向かって走ります。桜は七分咲きになり、五分咲きになり、やがて蕾となりました。奥多摩湖は桜の名所ですが、固い蕾のままダム湖の風に身を晒しています。賑わうのは4月下旬とか。そういえば、青森弘前城の満開も4月26日ごろです。そして最後の桜は5月5日頃、会津の奥の桧枝岐村の山桜です。
湖岸の道路は青い水を湛えた湖に添って曲がりくねっています。急カーブで大型車とすれ違う時は肝を冷やします。ハンドルを切り損こなうと湖底に真っ逆さまです。
昼飯は湖岸の名代のソバやで「ざるそば」宴会です。二台の車の運転手である倉石君と私は、旨そうに昼酒を飲む4人の長野高校の旧友たちを眺めるだけです。運転手とは、つくづく損な役目です。
午後は奥多摩湖の対岸を五日市に向かって走ります。標高500メートル程の見晴台付近には残雪がありました。そこには4,5人の男たちが天体望遠鏡のようなカメラを4台設置して谷底を覗いています。聞いて見ると、この付近には鷹が生息していて、その姿を写真にとらえるのだ、ということでした。
残雪と鷹と、散る桜と満開の桜、そして満開にはあと一か月かかる、という湖岸の桜。東京都もいろいろだなあ、と思ったことです。
温泉旅館「おくたま路」に集まった6人は全員が長野高校の同窓生です。一級建築士の北村、慈恵医大を出て開業している清水、石川島播磨重工の倉石、日本工営の花岡、作家の林真理子がOLとして最初に就職した「ナックデザイン」社長の長沢、そして私を入れた6人。狭い部屋に車座になりワイワイガヤガヤ。
長野三輪小学校時代の同級会「美都輪の森」はいつの間にか立ち消えとなりました。柳町中学校時代の「若草会」は年一回15、6人が集まりますが特に親しくしている友はいません。大学時代は尚更です。同級会は10年前に解散となりました。しかしなぜか、高校時代の友とは長続きしているのです。これは不思議です。
次回の開催は11月10日に決まりました。全員が何らかの身体の不調を抱えているのですが、それを克服して、出来ればゴルフをやることになりました。今から待ち遠しい思いです。
2018年3月26日 桜満開
家の猫額の空き地には、なぜか、実がなる植物が植わっています。いち早く春の到来を告げてくれる八重の梅は、今はすっかり花を落としましたが、6月には沢山の実をつけてくれるでしょう。真っ赤に熟れる茱萸もあります。キウイの雌雄の木があって、二階の屋根まで枝を伸ばしています。白い花が咲き、沢山の実が成るのですが、何故か、固くて食べるのは敬遠します。洋ナシもあります。今は大木になり、先端は二階の屋根より高くなっていて、大きな実を付けてくれるのですが、これも何故か、固くて食べられません。全くの「用ナシ」です。
いま、この洋ナシが芽吹き始めました。二階の仕事部屋近くまで枝を張り出しているので、朝に晩にその芽吹きの様子をつぶさに観察します。日に、5ミリから1センチほどの緑の新芽の成長でしょうか、「ああ、生きているんだなあ」と自分の命の長らえと共に、その不思議さに感動している毎日です。
この洋ナシは昨年、若葉が出そろったころアブラムシにやられました。消毒をしなかったせいでしょう。とは言っても、いままでこれといった対策をとっていませんでした。
チェンマイに行って滞在するのは、広大な病院の敷地内にある森の中の一軒家です。ブナの大木に囲まれているので毎朝の落ち葉の処理が大変です。ベランダに出て、木の葉隠れのお日様の光を浴びながら、昨日見ていたブナの新芽が今朝はかなり成長をしているのを見届けます。自分を含めて「イノチ」のありがたさを実感するときです。
「ああ、私はいま生きている!生かされている!」「今日は今日にて足れり。明日のことを想い煩うな」という聖書の文句が胸の底で鳴り響きます。
昨日は風もなく、またとないお日和でした。光が丘公園と、千川通りの桜を満喫してきました。近くの公園のベンチに座って青空に映える満開の桜に、いつまでも、いつまでも見とれておりました。
2018年3月21日 内閣人事局の功罪
人の世は人の組織によって動きます。人間も動物であってみれば、群れをなして行動します。そこには必ず群れを支配する者が生まれます。最も力のある者がその任に就きます。そしてその組織を他よりも優れた組織にしようと力の限りを尽くします。
日本国を支える組織は官僚機構です。受験競争を勝ち抜き、高学歴を持って難関中の難関と云われる国家公務員試験に合格した者だけが、キャリアとして官僚機構入りをします。そして、彼らにとって機構内での自分の処遇を含めての「人事」が最大の関心事になります。何故なら、階級が一つ上がる毎に、権力の重みが加わります。権力には蜜の味が伴います。
一方、政治家はどうでしょう。これはもう種々雑多です。選挙という関門を通過してしまえば、天下御免です。能力はあまり関係ありません。声を大きくして世間的に目立ってさえいればかなりの報酬が約束されます。だから、政治家は世襲制になってしまうのでしょう。
早稲田で同学部、同期生だった小渕恵三は首相にまでなりました。どこにでもいる目立たない学生でした。早稲田には政治家の子息だけで組織されている「雄弁会」「鳳飛会」などがあって、森嘉朗、竹下登、藤波康生、エトセトラが甘泉苑の池の辺で、学生服、学帽、破れ手ぬぐいを腰にぶら下げ「ワレワレハハ、コッカのタメニ、、、、」などと演説の練習をしていました。一般学生はそれを軽蔑の眼差しをもって眺めていました。
日本国は民主主義の国になり、三権が分立しました。司法、立法、行政が各々権利を主張できるようになりました。そこで際立つたのは、司法、行政の分野が最も優秀な学生で構成されているのに、立法の分野には、三流か毛色の変わった学生が集まるようになったことです。そのため、選挙に依って国民から負託を受けたという自負を持ち、社会のために役立つからとの理由で、国会で発議しても、それがそのまま成立するとは限らないのです。官僚に根回しされ、かつ、内託を得ている案件に限り立法化されるのです。
かつて政権が自民党から民主党に替わった時、鳩山総理が沖縄基地問題で新提案をしました。「少なくとも県外」と、大見得を切りました。ご本人は徳之島を考えていたようですが官僚の同意もアメリカの内諾も一切ありませんでした。加えて鳩山総理は「東アジア共栄圏」を発議します。この構想も官僚たちには寝耳に水でした。鳩山一郎の長男で東大工学部出ではありましたが、総スカンを喰らって退陣を余儀なくされました。続いた管も野田も早々に退散を余儀なくされました。その理由は官僚たちの非協力でした。当時外務大臣だった岡田は今も嘆いています。外務省の官僚どもは情報は流さないばかりか、書類も素早く上げてくれなかった、と。
しかし、いつの世でも行政が立法に非協力なのは、東西古今、常としたものです。新しいことに挑戦しないことをもってよしとする流儀はどこの国でも見られる現象です。「それではならじ」として新たに組織化されたのが「内閣人事局」ではなかったでしょうか。「官僚の下っ端は兎も角、上の方の人事は内閣が決める」ということで4人の常駐役人を事務方に置き、首相、官房長官、首相秘書官などでこの組織は動き出しました。確か3年前ほど前でしたか。
ある意味ではこれは画期的であり、自民一党独占を勝ち取った安倍政権ならではの英断であったかもしれないし、行政府に対する越権行為としての奢りであったかもしれません。一得あれば一失が付いて回るのが世の常です。「行政府の人事が立法府に握られた」結果、何が起きたか。「立法府の長への忖度、つまり阿り」が発生したです。モリ・カケ事件は高級官僚たちの人事への恐怖、あるいは阿り、あるいは忖度となって、最高権力者安倍のご機嫌を取り結ぼうとする結果を生んだのです。それにいち早く反発したのが前川前文科省次官であり、公文書を改竄させてまで安倍夫婦の前にひれ伏したのが佐川前国税局長官でありました。どちらも苗字に川がついているのが妙です。
近畿財務局が作成した森友事件の経過を記述した文書は、犯すべからざる公文書であります。その文書を改竄してまで安倍夫婦に阿ったその発信地はどこか?佐川一人の判断か、財務大臣麻生がやらせたのか、安倍夫婦は知っていてその動きに加担したのか、このミステリーの解明が今週の世間の話題です。
私は、少なくとも佐川は麻生に話を通じたと思います。そして麻生は秘かに安倍に通じたと思います。「何かあったらすべて自分のの独断でやったことにしてくれ、その暁には国税庁長官の地位を約束するから」私はこれくらいの話はあったろうと思います。
そして佐川は国会答弁でシラをきり通しました。今月27日に本人の国会での証人喚問がありますが、恐らく佐川は真実を話さないでしょう。殺されても事実を言わないでしょう。真実を墓場まで持って行く筈です。
佐川が事実を明かさない以上、この件は幕引きとならざるを得ないのでしょうか。私はそうは思いません。安倍、麻生の佐川の国税庁長官任命責任、更には内閣人事局の存在責任、立法府が行政府の人事に介入する制度を立案実行した政治責任、これらを打ち消すことは出来ません。更にいえば、安倍夫妻が存在していることによって国有財産や国の制度が脅かされるというモリ・カケ事件が発生した結果責任、しかもこれだけ世間を騒がせているその当事者責任を免れることは出来ません。ことの重さを理解できないでいる安倍・麻生、更には自民党議員さんたち、、、、、立法府を三流の人間集団にしている日本国の悲劇です。
「2018年3月20日 蜜の味「権力」
およそ2000年前、ローマから派遣されていた行政官ポンテオ・ピラトはイエス・キリストをゴルゴダの丘で十字架処刑をしました。「ブルータス、お前もか!」と言って暗殺された「ジュリアス・シーザー」はイタリアを中心に絶大な権力を持っていました。セントヘレナ島へ島流しにあったナポレオン然り。
近世ではナチスを組織したヒトラーが最大の権力者でした。世界歴史をひも解いて分かるのは、世界は権力者によって歴史が作られている事実です。それは昔も今も、概ね変わらないようです。
中国では、習金平が皇帝とも紛う位につきました。憲法ともいうべき規約が2700人の全人代の会議で、一人の反対者もなく可決されたのです。ロシアのプーチンが76%の国民の支持を得て、権力者の地位を不動にしました。北朝鮮の金正恩は権力者でいられることを条件に韓国、アメリカとの会談に臨もうとしています。アメリカのトランプは、権力を握ったことをいいことにして赤子のようにその権力を振り回しています。アメリカ国内、いや、世界中に未曽有の混乱が起きているのに、御当人は「どこ吹く風」です。
ことほど左様に、一度、権力の味を知ってしまうと、その魔力から離れられなくなるのが人間の悲しさなのでしょうか。
安倍晋三夫妻がそうです。夫婦の存在とその行動が招いた役人の不祥事なのに、すべての責任を自分たち以外に擦り付け、逃れようとしています。日本国という国家を支えている最強の集団・財務省(旧大蔵省)をして不正を犯す「忖度」を発生させたのは安倍夫妻の言動なのですぞ。国家公務員の人事を一元化するという名のもとに「内閣人事局」をつくった、それがそもそもの原因なのですぞ。それをしたのが安倍ではないですか。
「恥を知れ!」と大声を上げたくなるのは私だけではない筈です。
2018年3月18日 旬の食べ物
デパートやスーパーの食料品売り場を巡り歩くのは、昔からの楽しみの一つです。旬のものを見つけてはそれを慈しみながら味わう、、、とても幸せな時間です。若い時は殆ど旅暮らしでしたから、旬のものにあり付ける機会が人さまより余計にあったように思います。秋田の市場では獲れたてのジュンサイ、たらの芽、行者にんにく、山形ではサクランボの佐藤錦、京都・錦小路では朝掘りの竹の子、小倉の旦過市場でクエを一匹買って刺身と鍋にしたこともありました。クエはフグより美味かったですね。新潟の本町市場も忘れ難い。冬、マダラを一匹担いで帰って来たこともありました。昨年暮れは、金沢の近江町市場の蟹でした。
昨日は池袋のデパ地下へ行ってきました。人形町の「今半」の店からしゃぶしゃぶ用の松坂牛を1万余円分購入し宅配を頼みました。逗子にお住いの98歳の超人宛てにしたのでした。筑地「田村」の勘定を一手に引き受けられたので、せめてものお礼がしたかったからです。
そのついでに、デパ地下の食料品売り場を久しぶりに歩き廻りました。普段、行き慣れている近所のスーパーとは、流石に品物が違います。それにしても各売り場には膨大な量の食料品が並んでいます。みんな売れるんだろうか? というのが率直な疑問です。
タイ・チエンマイでの食料品の買い物は「ビックC]「トップス」「マクロ」「リンピン」です。さして美味しいものはありませんが、売り場は品物で溢れています。しかし、閑散としているのが常です。代わりに、数ある青空市場はごった返しています。屋台も出ていて実に安い。ただ、すべてが恐ろしく辛いのが難点です。昼飯によく行くのが、吹き抜け屋台のチャーハンです。きゅうりと葱とライムにスープが付いて35バーツ(120円)です。
何を買おうか、と思いながらデパ地下を歩き廻りましたが、結局、何も買わずに帰って来てしまいました。チェンマイの青空市場とのあまりの格差に怖気づいたのでしょうか。自分でも不思議です。
2018年3月15日 98歳の秘密
朝日新聞の大先輩、竹市義弘さんはオントシ98で矍鑠としておいでです。その竹市さんを囲んで、今日、筑地の料亭「田村」で、日本新聞販売協会の会長を務め現在85歳の田窪英司さん、もと販売局に在籍し、今はミニコミ会社を経営する才媛にして美女高比良美穂さん、それに私を加え「最近の朝日新聞を語る」会がありました。
何よりも驚くのは98歳の竹市さんは、目、耳、口など五体はおろか、考え方に至るまで、少しの衰えも見られないことでありました。その上、後から後から出てくる美味にして手の込んだ「田村」一流の料理をすべて平らげられたことでありました。竹市さんとは、毎月一度の囲碁の会でもお会いして対戦いただいているのですが、少しでも油断すると負かされてしまいます。
一体、98歳にして常人以上に元気でいられるのはどうしてか? 何かそこに秘密があるのではないか? いろいろ探りをいれたのですが、どうやらご自分もお認めになる「あるもの」がありました。それは武田製薬のある種の「女性ホルモン」でありました。
竹市さんは70代で前立腺ガンを発症します。しかし、医者が薦める手術を拒否し、ガンに打ち勝つ方法を自分で模索し、この女性ホルモンの常用にいきつきます。そして来年は白寿を迎えるのです。
これをお読みの皆さん、長生きをしたければ「女性ホルモン」ですぞ。何とかいう(聞いたが忘れた)ホルモンの常用ですぞ。女性の場合はどうなのでしょうか? 男性ホルモンをお試しになってはいかがですか。
198歳.jpg
《 註》この記事に目を通された高比良さんからメールがありました。竹市さんご愛用の長生きの秘薬の名前は「リュープリン・武田製薬」というのだそうです。この薬は専ら筋萎縮障害に使われているらしいです。
2018年3月13日 待たれる次の総理
昨日の夕刊から今日の朝刊の朝日新聞は凄い。その殆どを文書改竄問題に終始しています。遅ればせながら他紙も凄い。この問題を大きく扱っています。そして一様に麻生財務大臣と安倍総理の責任を論じています。国会の周辺でも大規模なデモが行われ出しました。それなのに、総理夫人はあちこち飛び回ってノー天気なことをブログで書いています。「私たちが、もし、係っていたら総理大臣も議員も辞職します」とノタマッたにも拘らず、どこ吹く風です。つまり、二人が並の神経の持ち主でないことを公表しているようなものです。
日本国民の不幸ですなあ、こういう無神経な夫妻を最高権力者として君臨させていることは。もう一つ日本国民にとって不幸なことがあります。それは言わずと知れた選挙制度です。かつての中選挙区制では野党議員もそれなりに票を獲得していました。一選挙区で与党、野党が同時当選することが出来ていました。それが自民党の策謀により小選挙区制となりました。するとどうでしょう、どの選挙区でも自民党ばかりとなりました。絶対多数は小選挙区制が産んだ代物なのです。アメリカの二大政党制を夢見て作られた選挙制度であったのでしょうが、結果的には野党が育ちませんでした。共産主義が世界から葬られたのはいいけれど保守の中にも「保守的保守」と「革新的保守」があるのに日本の政界は革新的保守との競合を許して来ませんでした。更に不幸なのは自民党の中に存在している革新的保守の存在を否定してやまない勢力が存在することです。願わくは、このチャンスを逃さず「ポスト安倍は私だ、私たちのグループだ」と、名乗り出て欲しいと思うのは私だけでしょうか。
石破茂サンよ、あんたは何でモタモタしているのですか? 岸田文雄サン、何でグループとしての行動を起こさないのですか? 野田聖子さん、今ならあんたの目もありそうですぞ! 河野太郎ちゃん、あなたの語学力は大したものだ。それにあなたは腎臓の一つをお父さんの洋平さんに捧げた美談の持ち主だ。お父さん存命中にもう一つの腎臓を日本のために捧げなさい。もう一人忘れちゃいけないのが小泉進次郎クンです。年寄政治家連中を君の手で地獄へ送ってやりなさい。
2018年3月10日 辞任と自殺と責任と
国会答弁で9回もシラを切った佐川国税庁長官が辞任しました。時同じくして近畿財務局の上席国有財産管理官が、自宅で自殺しているのが発見されました。国会提出文書の書き替えは、当時の局長の佐川が指示し、この管理官が指示に従って書き替えを行ったものと推測されます。朝日大阪本社へのタレこみは、恐らくこの管理官ではなかったでしょうか。なぜなら、産経新聞でさえこの自殺管理官の名前を紙面に出しているのに、朝日はそれをやっていません。
財務省は昔の大蔵省です。国家公務員の中で最も優秀な者が大蔵省へ行きました。どんな落ち度もあってはならないのが大蔵省の大蔵省たる所以です。況や、時の権力者に対する阿りや忖度など、絶対にあってはならないのです。佐川局長は、それを犯して国税庁長官に栄転しました。それをしたのは誰でしょう。忖度を受けた安倍晋三です。籠池夫妻も変わった人物ですが、それを見抜けず、便宜を図ろうとした安倍晋三・昭枝夫妻こそがこの事件の元凶です。
「やましいことは一切ない。もしあれば辞職する」と安倍は公言していますが、例え金銭的なやましさはなくても、役人の忖度を発生させてしまった責任は免れるでしょうか? 麻生財務大臣も、「辞任は考えにない」とノタマイました。二人の無責任さにはホトホト呆れてしまいます。岸・安倍一族、吉田・麻生一族のなれの果てがこの二人です。成蹊・学習院出の二人のお坊ちゃん体質の現れでなくて何でしょう。
政治家が世襲制から一歩も出ていない日本の現状を憂います。
2018年3月7日 春の香り
家の猫額の紅梅が満開となっています。先月26・27日と囲碁の会が熱海であって、一泊したついでに梅林へ行ってきました。紅梅、白梅が見事でした。熱海の街を足に任せて歩いていたら、馥郁とした沈丁花の香りが漂ってきました。旬日して、家の近くでも沈丁花が花盛りとなりました。梅も沈丁花も春の香りです。昨日は江古田の税務署へ確定申告を出しに行きましたが、近くの公園でしばし佇み、満開の沈丁花を楽しんで来ました。
さて、お隣の朝鮮半島からも春の香りが飛びこんで来ました。韓国からの5人の使節が文大統領の親書を携え、北朝鮮に赴き、金正恩以下と会い、彼の妻や妹も同席して4時間を超える懇談と晩餐会が行われました。「満足すべき結果が得られた会談」であった、と北側が発表しました。全人代開催中の中国も好意的に受け止め、ロシアも手放しで歓迎の意を示し、アメリカでさえ「良い兆し」としています。それなのに日本の内閣府はどうでしょう。喜んでいないのです。苦虫を噛み潰したような態度を見せているのです。韓国の文在寅は余計なことをしてくれた、と云わんばかりの冷たい態度をとっています。
つまり、日本の総理大臣安倍晋三は内心では戦争を望んでいるのです。戦争にならないまでもアメリカと北朝鮮が和解するのを恐れているのです。そうでなければ、曲がりなりにも北と南が晩餐会を行なったことについて「歓迎」の談話を発表すべきです。隣りの半島の世紀の慶事ともいうべき変わり様に「快哉」の言葉も言わないとは何事ですか!
憲法改正が「ナベツネ」べったりの安倍に連なる一派の悲願であることは明白です。だから、今回のような「雪解け」の兆しは彼らの望むところではないのです。政権の交代が急務になってきました。
時あたかも、朝日新聞が安倍降ろしに本気になり始めました。遡って、私の現役時代から朝日と安倍は敵対していましたが、過日、安倍はこともあろうに国会の質疑の最中に朝日を誹謗しました。「トラの尾」を踏んだのです。私でさえその言辞に歯噛みしました。現役の諸君の憤りは如何ばかりであったでしょう。
社長以下「もはやこれまで」と覚悟を決めた結果が「森友の文書書き替え事件」でしょうか。恐らく「たれこみ」があった筈です。入念な裏付け調査があった筈です。
「朝日よ、安倍を降ろすに至るまで徹底的にやってくれ」と願っているのは私だけではない筈です。
2018年2月20日 帰国しました
1月23日は東京練馬も大雪になった翌日でした。朝、5時起きして羽田へ向かいました。それから約一か月近く、皆さまには申し訳ないような快適な日々を過ごし、昨日夜遅く帰国しました。ハワイと同じ緯度上に位置するタイ・チェンマイでは冬が最も快適な気候となります。日中は半袖、半ズボンで十分、朝晩が少し寒いか、という感じです。空はあくまでも青く澄み渡り、深い緑に囲まれた森の中の一軒家で、満開のブーゲンビリアやトランペットを愛で、静謐を友とし、時には持ち込んだキーボードで、ショパンやドヴィッシーを奏でます。音が珍しいのか、白い羽を付けた鳥の群れがやって来て一緒に謳います。リスまで様子を伺いに近寄って来ます。朝7時半、木の葉隠れに朝日が輝きだします。ベランダに出て、七色の光線を浴びながら今日も生きられる喜びを全身で感じます。8時になると道路を挟んだが小学校からタイ国歌の斉唱が流れて来ます。まるで極楽にいるような時を過ごさせてもらってきました。誠に、誠に申し訳ない次第であります。付け加えさせてもらえば、あれほど私を悩まし続けていた悪性の咳が、完全に治まってしまいました。
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ところで、今回の旅の目的は、チェンマイから約300キロ離れたパイという街の少数民族の学校へ楽器を寄付することにありました。前回のキーボード寄贈の時に「是非、お願いします」と頼まれていたピアニカを12台を持って行きました。本当は20台頼まれたのですが重量制限のため12台がギリギリでした。新品のピアニカをアマゾンから取り寄せ、アマゾンの段ボール2ケを手荷物にして持ち込んだものですから目立ちました。果たして、税関に引っかかってしまいました。「学校への寄贈品だ」と英語で説明しても通るわけもありません。渋々1480バーツ(約5000円)支払いました。
この学校へは今回で5回目になります。埼玉県の去る団体が400万円で幼稚園校舎を寄贈し、それをアレンジした堀田さんに連れられて訪問したのが最初でした。ヤマハの小型のキーボードを持ち込んだのが二回目、同じくヤマハの中型を持ち込んだのが三回目、四回目は奨学金を渡しに来ました。そして、今回です。独身女性で小太りながら、学校経営に命を注ぎ込んでいるジラポン校長先生に共鳴させられた結果でもありましょうが、訪れる度ごとに音楽教育が進歩し、学生上がりの若い音楽教師が、生涯の音楽活動の場を見つけたように、生徒の中に溶け込んでいるのを見るにつけ、何かしてあげたくて堪らなくなるのです。
今回のパイ行きは、いつもの堀田さん、林さんの他に名辺谷さんが加わりました。チエンマイ日本語キリスト教会の重鎮でもあるお方です。林さんとは大の仲良しで、一緒に住んでいたこともあります。
その晩、我々四人はパイに泊まることになり、外国人で賑わうナイトバザールの名だたる店のカクテルでささやかな祝杯を上げました。
つまるところ、堀田さんのお蔭で私が日本からの楽器の運び屋になったこと、堀田さんが奉仕している少数民族の女子寮に寄贈した大型キーボードを含めてそれが5台にもなったこと、更に、堀田さんからは、タイの奥地にはもっと貧しい集落があること、それをどうするか、などなど、パイの夜は四人の白熱した議論の内に更けてゆきました。
2018年1月20日 韓国統一狂想曲
来月9日に開会式が行われる冬季オリンピックが迫ってきました。ここへ来て韓国と北朝鮮が統一旗を掲げて開会式の入場行進をするというニュースが飛び込んできました。あの板門店で両国の会議が持たれ、準備が着々と進められているようです。大応援団や歌舞団まで参加するとか、いずれにしても大きな変化が起きようとしています。アメリカの根回しに依るのか、文大統領の熱意に依るのか、北の金書記長の気まぐれの結果か、この急激な変化は一時的であるにせよ、世界の安らぎでありましょう。察するところ、昨年春発足した文政権は朝鮮半島統一を悲願としているようです。その為なら、場合によっては韓国を北朝鮮に投げ出してもいい、と感じさせられる場面がしばしばです。アメリカとの同盟関係に早く終止符を打ちたい、と内心では思っているかも知れません。何となれば資本主義対共産主義の構図はとうに崩れ、問題は金一族の世襲性だけです。排除したいのはそれだけです。その日がやがて訪れるとすれば、朝鮮半島は核保有国になるのです。困るのは日本でしょう。
冬季オリンピックの会場はソウルから新幹線特急で一時間の平昌です。暖房設備もない開会式場のようで、観客にはカイロを配るとか、簡易設備の椅子席は重さに耐えられず崩壊するかもしれないとか、法外な値段を吹っかけられるので、ホテルはガラ空きになるだろうとか、唯一の交通手段の新幹線は整備不良のため故障続きになるだろうとか、いろいろ取り沙汰されています。
しかし、どうか何事も起きず、世界が褒めそやす冬季オリンピックになってもらいたい、と願っているのは私だけでしょうか。
ついでながら、招待状が来ている安倍総理には是非出席してもらいたいものです。いろいろあってもそこはそれ、目をツムッテ出るのです。世界がそれを見ていますぞえ。隣りの家の慶事に素知らぬ顔をしていたら、末代まで言われますぞえ。
2018年1月16日 一帯一路はショパンコンクールを破壊した?
ポーランドのワルシャワで5年に一度開催されるショパンコンクールは、最も権威のある若手ピアニストの登竜門です。二年前に行ってみて驚いたのは出演者の殆どが中国人、韓国人であったことです。日本人の出演者も小林愛美を筆頭に13人いました。おまけにプラチナチケットを買って入場している聴衆のほとんどが中国人、韓国人でありました。ポーランド系以外のアーリアン系、アングロサクソン系は出演者にも聴衆にも見かけなくなりました。当然ながら入賞者もアジア系です。 二年前は韓国人が第一位でした。入賞者6人による凱旋演奏の時、他の5人は、舞台に最初から置いてあったヤマハのグランドで弾いたのに、その韓国人はわざわざヤマハのピアノを引っ込ませ、スタインウエイに取り換えさせました。日本製のピアノを嫌ったのです。反日をチラつかせたのです。実に、嫌な感じでした。
一般に、中国人の演奏はパフォーマンスが多すぎます。恍惚の表情を浮かべながら、神技に近い演奏をします。かつてのこのコンクールでの中国人の優勝者ランランやユージャを見るまでもなく、オーバーな演技は当たり前です。神がかりの演奏のできる私を見よ、そして感動せよ、とでも言いたげです。そうなるのも、音楽的には経験の浅い中国の聴衆を唸らせるためでしょうか。
しかし、ピアノという楽器は、この楽器が本来持っている美しい音色で鳴るのは、指を立てて弦を叩かず、腕と指の重さ以外の何の力を加えずに、ただ鍵盤に置いてやる時だけです。まして、派手なパフォーマンスなど全く必要ありません。美しい音にとってそれは邪道ですらあるのです。それを知っていたのがホロビッツであり、アルゲリッチであり、ポリーニでありました。そして、この三人より更にいい音色を出している女流ピアニストがいます。グルジア生まれのカチア・ヴニアテッシュビリがその人です。彼女の指は一切の虚飾を排しながら超高速で鍵盤上を動きます。美しい手と指の動きです。しかも、彼女は美人の上にスタイル抜群!
伝統あるショパンピアノコンクールが中国人、韓国人に占領されだしたのは何時の頃からでしょうか。中国が提唱する一帯一路はこんなところにも影響が出ているなんて誰が予想できたでしょうか?
私はショパンコンクールがすっかり嫌いになりました。もう、行くことはないでしょう。最も、このコンクールは5年ごとですから、次の時まで私がこの世に存在しているかどうか?
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