２０２１年８月１０日　　　　　　　　　　　雲

　一昨晩から昨日にかけて、日本列島を二つの台風が襲いました。一つは山陰地方に上陸し、日本海側に抜け、もう一つは千葉県沖を掠めて三陸沖から北海道沖に抜けていきました。折からオリンピックの閉会式が行なわれた関東・東京は風は強かったものの、台風の影響はありませんでした。天までもがオリンピックに協力してくれた、というほかありません。時折、猫額のベランダへ出て雲の動きを見ることが出来ました。その動きの速かったこと！

　私には妙な癖があって、雲の動きを飽かず眺めることです。公園などのベンチに寝転がって空を見上げるのが大好きです。どのような雲でも、静かに微妙に動いていて止まることがありません。大空に描かれる壮大な雲の造形の変化を見ていると、そこに吸い込まれていく感覚が面白く、昨日も矢継ぎ早に変化してく雲の速い流れを飽かず眺めていました。実際、昨日の雲の流れは台風の影響のためもあってか、実な多彩な変化を見せていました。

　コロナの影響でこの１年半余り、タイ・チェンマイに行かれないでいますが、雲の動きの多彩さはご当地にとどめ差す、と言っていいでしょう。見渡す限りの大平原の上空は積乱雲の乱舞です。雲同士が大空を舞台に戦いあっているのです。　

　そんなに遠くないうちに、私も「死」を迎え、身体は焼かれ、水分は蒸発して大気の中に吸い込まれていくでしょう。既に水滴となって大空に漂っている大勢のお仲間に加えせてもらうのです。既に水滴となって漂っている懐かしい父母や友人たちに会えるかもしれません。雲は私の第二の容です。今日も空は青空、白い雲が微妙に形を変えながら静かに動いています。それを見上げながら「私もやがてお仲間にしてもらうからね」と呟いたところです。

２０２１年８月８日　　　　　　　トランスジェンダー

　オリンピックの女子重量挙げで、中国の選手がメダルを獲得しました。その選手の体つきを見ると、股間は盛り上がり、腋毛もフサフサで顔つきも、身体の筋肉の付き方も、どう見ても男です。重量挙げ部門に関わらず、中国の女性選手団の中に、こういう男性が女性として出場していました。これはかつての世界選手権でも問題になっています。トランスジェンダーという厄介な問題です。

　東南アジア、それも主としてタイ国に滞在した経験から申せば、いたるところに男性でありながら女性として振舞っている若い人に遭遇します。現に、「魔の三角地帯」へ行ったときのバスガイドもそういう人でした。ガイドの直ぐ脇の席だったので、彼氏、イヤ彼女の立ち居振る舞いを、いやというほど見せつけられましたが、違和感を拭えませんでした。

　オリンピック委員会はこの問題について、その男性の血液中のテストステロン（男性ホルモン）の値が基準値以下ならば、外見に関わらず女性として出場が可能、という判断を下しました。つまり、日本でいえば「はるな愛」や「松子デラックス」らが、その気になればオリンピックであろうが、世界選手権であろうが、純粋な女性部門の競技に出場が可能となったのです。そこにいち早く目を付けたのが中国のようです。意識は女性ながら、体つきは男性機能を持つ若手に特殊な訓練を施し、オリンピックの選手として育て上げ、メダル獲得に血道をあげたのです。しかし、今回、目立ったのは重量挙げでしたが、中国の「おねえ」がレスリングや柔道に参加するようになったらどうなるか？　髭ずらで股間が盛り上がった女性という男性と組んずほぐれずをするのです。はてさて、どうなっていくのでしょう？　

向田真優（２４歳）　レスリング５３キロ級
　　　　　　　　金
　　　志學館時代から指導を受けていた志土地翔大氏
　　　と現在婚約中

２０２１年８月７日　　　　　　　　不思議な映画

　昨日、吉祥寺のパルコ地下二階のミニシアターで「パンケーキを毒見する」という映画を観ました。昔の映画館で必ず上演されていた「ニュース・映画」の容を取りながら、その独立性を主張する、何とも不思議なジャンルの映画でした。現行の菅総理大臣のあいまいな国会答弁を揶揄しながら、日本学術会議で６人が新メンバーから外されたその裏に、三人の警察官僚出の副官房長官の存在と意見があったことを暴露しながら、内閣府が官僚の人事権を持つに至った経緯を、前川文科相次官に存分に語らせ、一方では、首相の国会答弁のしどろもどろの有様をあぶりだし、現国会の異常性を視覚化していました。しかし、その根底にあるのは国民の側の政治への無関心、問題意識の希薄さにあるとして、現行の選挙制度の欠陥を突き、併せて、政治の劣化は日本国民の「親方日の丸」的意識にあるとして、発想の転換を漫画的手法を採用しながら、啓蒙する深さの表現もありました。

　見終わって、成程、映画にはこういう表現方法もあるのか、と一人唸ってしまい、初め、単なる菅総理を茶化すだけのものだろうと、高をくくっていたことを恥じました。日本の政治の現状を深く憂うる人たちの、心からの叫びが、この映画に結集したのです。国民全員がこの映画を観た方がいい、と思える稀な映画でした。

野中生萌（みほう）  女子ボルダリングで銀 ２４歳　１６４ｃｍ　５４キロ　東京文京区出身

　　　　　　　　５人家族で三姉妹の末っ子　　父親は登山家でクライマー　　

２０２１年８月６日　　　　　　　　　原爆忌

　九州小倉の西部本社の業務局長として赴任していた時です。九州、中国地方の新聞社の販売責任者の会が毎月開かれていました。会合の場所は持ち回りで、その時は、山陽新聞社の番で広島市内でした。爆心地の記念公園へ、その時、初めて訪れました。当時のままの原爆ドームを見ました。夥しい数の千羽鶴に囲まれた記念碑の前で頭を垂れました。記念会館には惨たらしいまでの遺品がありました。涙が溢れて、溢れて止まらなくなりました。非常口から中庭に出て、声を上げて思い切り泣いたことを今でも鮮明に覚えています。長崎にも行きました。爆心地には、大きな、大きな像が大手を広げて屹立していました。不思議なことに、ここでは涙を流した記憶がありません。８月６日の広島は、九州小倉が目的地だったのに、当日、小倉の上空が厚い雲に覆われていたため、目的地が急遽変更され、快晴の広島に変更されたようです。もし、当初の目的地であった小倉に投下されていたら、、、広島は誠にお気の毒、という以外にありません。

　敗戦後、東京裁判が行われ、３３人の軍人指導者が次々に死刑になりました。彼らの陳述は異口同音に「私は上官の命令に従ったまでで、私には罪はありません」　と言うものでした。もし、最終期限の７月２７日までにポツダム宣言を受け入れていたら、、、、ロシアの参戦もなかったでしょう、原爆投下もなかったでしょう、、、、軍人が国を支配した悲劇そのものが日本国に起きたのです。いつも私の机上に置いてある丸山正男の「現代政治の思想と行動」、半藤一利の一連のもの、じっくりと読み返さなければなりません。８月はそういう時なのです。　　

２０２１年８月５日　　　　　　　　　　　　快　挙

　オリンピックの中でも体操競技種目の中の鉄棒は、昔から花形であり、中でも、小野選手の時は「鬼に金棒、小野に鉄棒」という時代がありました。その後、３４年前のロサンゼルス・オリンピックでは森末慎二選手が金メダルに輝きました。その森末さんと一緒に、当時人気だった「TBSこども電話相談室」の回答者として出演したことがあります。既に中年を超え、一緒に出演した歌手の森公美子さんと同じくらい身体が大きくなっていました。なぜ、私ごときが出演できたか、というと、当時私は朝日小学生新聞を発行する朝日学生新聞社の社長であり、朝日新聞社がTBSラジオのこの番組のスポンサーだったからです。

　時代は移り、鉄棒は内村航平の独壇場となりました。ところが、期待を一身に担った航平君は、なんと、初日に鉄棒から落下してしまいます。「何とかも木から落ちる」という体たらくになってしまったのです。ところが、ところがです。橋本大輝くんという１９歳の選手が現われ、鉄棒で金メダルに輝いたのです。その演技を、たまたま、私はテレビで見ていました。完璧を超えた実に美しい鉄棒の演技でした。全くの門外漢である私をしてまで「これは凄い」と唸らせました。解説者であった森末慎二さんまでもが「世界一奇麗な体操である」と絶賛しました。

　１９歳の橋本大輝君は千葉県佐原の生まれで、船橋高校をでて順天堂大学の学生です。二人の兄弟で、父親は千葉県立高校の先生だそうです。団体と共に二つ目の金メダルに輝いた橋本君を、大学関係者はこのコロナの忌まわしい中にあって、またとない嬉しい知らせとして、大喜びしていることでしょう。

２０２１年８月４日　　　　　　　　　女子力

　今回のオリンピックで特筆すべきは、日本の若い女性アスリートたちが金・銀・銅のメダルに輝いていることです。中でもスケートボートで金を獲った１３歳の女の子、男でも容易でないボクシングで優勝した２０歳の日体大の女子学生の入江さん。この女の子が、また、変わっています。蛙が大好き人間なのです。蛙を可愛がりながら、リングで相手をぶん殴り、張り飛ばす。実に痛快な女の子です。

　このホームページでは、いつもの詩やジョークの代わりに、オリンピックのメダルに輝いた女性たちを、写真と共に掲載しその偉業を讃えさせてもらっていますが、今日も又、驚くべきニュースが飛び込んできました。スケートボードのパークで四十住（よそずみ）さくら（若干20歳）さんが金メダル、日本選手団の中での最年少選手、若干12歳の開（ひらき）心那（ここな）が銀メダルに輝いたのです。日本の女子力は、誠に、誠に凄まじい、と言わざるを得ません。

　オリンピックで日本の若い選手が大活躍する一方、コロナの感染者もうなぎ上りに増加しています。これからの１０日間、感染者は飛躍的増加していくでしょう。そこで問題になるのは、当然予想されたオリンピック開催に伴う感染者増大を恐れて、開催を中止にした方が良かったか、犠牲を払ってでも開催を強行したことの方が良かったのか、二者択一の問題です。世界各国の選手が日本の猛暑の中でプレーしているのを見る限り、一年遅れであっても、晴れの舞台が与えられてよかったなあ、と思う一方、感染者が一日一万人をを超え、病院に入れず、自宅療養を強いられている医療崩壊の現状を見ると、人の命とスポーツとどっちが大事か！と叫びたくなります。折から、甲子園高校野球が始まります。「オリンピックの中止を！」と社説で吠えたわが朝日新聞社の主催です。願わくは、高校球児に感染者が出ないよう、衷心から祈るのみです。

２０２１年８月３日　　　　　　吉祥寺という街

　「あなたが住みたいと思う地名５つ挙げてください」との世論調査で、必ず上位に挙がってくるのが吉祥寺です。昨日、久しぶりに行ったこの人気の街は、相変わらず賑わいを見せていました。ゴルフに夢中になっていた頃、宮沢恭人君のホームコースが「桜が丘GC」だったため、練馬から車で吉祥寺を抜け、しばしば通いました。安倍総理の出身校・成蹊大学通りはいつも渋滞していて、それを避けようと思っても住宅街の道は狭く、通り抜けるのが一苦労でした。　

　昭和１６年１２月８日、大東亜戦争勃発・突入の臨時ニュースがラジオから、ひっきりなしに流れました。当時、母と私は井の頭公園の直ぐ脇きの集合住宅に住んでいました。毎朝、動物園の獣や鳥の鳴き声で起こされ、近くの昆虫博物館や井の頭公園が遊び場でした。臨時ニュースを聴いた母は真っ青にになり、私を連れて近くの「パンや」さんへ行きました。パンはすでに売り切れていて、菓子パンだけがそれでも残っていました。母はそれをしこたま買い込み私に持たせました。しばらくして、家は西武線新井薬師駅そばの、門構えのある一軒家に移り、近くの上高田国民学校の一年生になりました。そして、学童集団疎開で福島浜通り・富岡へ行き、５月２５日の東京大空襲で家が焼け、母は着の身着のままで私を迎えに来て、８月１５日の終戦は長野で迎えました。

　昨日、久しぶりに行った吉祥寺は、まさに、大都会に変貌を遂げていました。高層建築が目白押しで道路も輻輳していました。しかし、一歩住宅街に入ると、道は狭く一方通行ばかりです。都市計画のないままに変貌している吉祥寺は、いまに身動きが取れない街になっていくのではないでしょうか。

２０２１年８月２日　              パンケーキを毒見する

　現職の総理大臣を題材にした映画「パンケーキを毒見する」が、目下、巷の話題になっています。しかも、この映画製作には前川喜平さんが絡んでいるようなので、この映画を上映中の吉祥寺「パルコ」内の映画館へ行ってみました。生憎、満席になっていました。帰宅して、改めてパソコンで登録し、明後日の14時半の予約を通しました。座席を確認すると、パルコ内映画館は座席数１００余りの小さな映画館で、しかもコロナ感染対策のため、有効座席は一つ置きになっていました。

　この映画の主人公は、どうやら、パンケーキが無類の好物のようです。秋田の山の中のイチゴ農家で幼少期を過ごし、アルバイトしながら法政大学夜学部を出た彼にとってみれば、パンケーキは憧れの食べ物であったでしょう。そのせいもあってか、彼が首相に就任した最初の記者との懇談会で、全員にパンケーキを御馳走しています。ともあれ、現職の総理をやり玉にして作られた映画は日本では初めてです。それだけに製作委員会のご苦労が忍ばれます。出演をお願いしたほとんどの人は、まず、断ったそうですから、それも頷けます。さて、どんなドキュメンタリー映画になっているのか？　明後日が楽しみです。

２０２１年８月１日　　　　　　　　食糧危機

　今年の台風の進路は、どういうものか、妙な進路をとっています。太平洋上に発生する台風は、通常、沖縄列島から日本列島に向うのに、左に進路を変え中国大陸に上陸して行きました。そうでなくとも、中国大陸の空は晴れ渡ることなく、大雨が降り続き、河川は氾濫し、ほとんどの町は泥水に見舞われ、田畑は水浸しになっています。その上、台風までもが追い打ちをかけています。莫大な被害を受けているはずなのに、中国共産党はその被害の全貌を公表しようとしていません。その隠蔽体質は世界から顰蹙を買っているにも関わらず、改善の兆しは全くありません。数あるダムは決壊し、ほとんどの町が浸水被害を受けている動画は、くどいほどユーチューブで流れていますが、見過ごせないのはほとんどの畑や田んぼが浸水被害の只中にあることです。当然のことながら次に起こりうる悲劇は、食糧危機です。

　いかに共産党の権力が強大でも１４億人の中国人を毎日食わせなければなりません。しばらく前から中国は食糧の輸入国になっています。大豆、小麦、トウモロコシなど買いあさりを始めて久しいのが中国の現状です。備蓄は十分にあると豪語しているようですが、その備蓄倉庫までもが水害にやられています。ということは、中国共産党が紙幣の「元」を無尽蔵に刷りまくり、世界の食料の買いあさりを始めるのが目に見えています。すると、日本の食料品も大量に買われるはずです。という事は、やがて、というより近いうちに日本の食料品は品薄になり、高値を呼ぶ結果になるでしょう。

　大迷惑な話ですが、中国人も我々も等しき人間です。助け合うのは人としても義務です。ただ、今回のような未曽有の水害は、中国共産党政権に対する天罰が下っていることを、中国人は理解しなければなりません。チベット、ウイグル自治区へ人間性無視の弾圧、香港、台湾への介入、南沙諸島、尖閣諸島への野望などなど、「お天道様」はそれをみそなわし、「だめだよ」と言っているのを理解しなければなりません。もし、反省の色が無い場合は、自由諸国はアメリカを中心に結束して、一切の食料を中国に売らないことです。事態はそこまで押し迫っている、と私は理解しています。

２０２１年7月３１日　             雲のかたち

　梅雨が明けると共に、大空の雲の容が極端に変わってきました。真っ白い塊が、これでもか、という勢いで青い空をバックに下界を睥睨し始めました。8月１５日の敗戦の日が迫ってきました。庭に出て正座し、天皇陛下の放送を聴き、全員が泣き崩れているのを横目に、国民学校３年生の私はその場をそっと抜け出し、物置の陰から空を見上げました。長野市の空は青く澄み渡り、真っ白な雲が輝いていました。庭に出ていた全員が泣いているのに、特に私の母親は草や土を掻き毟り、身も世もなく泣き崩れているのに、どうしたことか、９歳の私は泣きません。泣くどころか嬉しさがこみ上げてきて、青い空と雲に向って「よぉーし！」と睨みつけたのを、昨日ように覚えています。同時に、この青空と雲の容を忘れまいと、脳裏に焼き付けたこともはっきり覚えています。あれからウン十年、今日も青空には何事をもみそなわしているに違いない白い雲が浮かんでいます。

２０２１年7月３０日　　　　　　　　　　正念場

　今日の朝日新聞朝刊の見出しは、「東京爆発的感染拡大」です。東京＋３，８６５、神奈川＋１１６４、埼玉＋８６４、千葉＋５７６、大阪＋９３２、北海道＋２６０、など合計で１０，６９３人で、一日で感染者が一万人を超える最初の日となりました。総数は９０万４２４１人、死者はⅠ万５１９４人です。一方、退院者も８２万人を超えるまでになりました。

　この傾向はオリンピックの期間中続くと思われ、識者は最大の警告を発しています。現に、東京だけだった非常事態宣言の発令を首都圏その他が申請し始めました。今回の感染の特徴は高齢者は少なく、２０代から４０代の働き盛りに多い、しかも感染力が従来型の２倍はあるといわれるデルタ型コロナによるものが大部分だというのです。東京オリンピックはようやく中盤に差し掛かりましたが、まだまだ続きます。聞くところによれば医療崩壊が既に始まっているとか。関係者のご苦労がしのばれます。

　一方、世界を見渡せばアメリカ３４００万（死者６１万）、インド３１００万（４２万）、ブラジル１９００万（５５万）、フランス６１１万（１１万）、ロシア６１１万（１５万）、イギリス（１２万）、トルコ５６６万（５万）、アルゼンチン４８９万（１０万）、コロンビア４７５万（１１万）、スペイン４３９万（８万）、インドネシア３２８万（８万）、フィリピン１５６万（２万）などと比べれば、日本の８９万（１万）は善戦、健闘している数字と言えなくもありません。しかし、一日１万を超える日が続けば、あと１０日で１００万人を突破するでしょう。あらかじめ、予想されていたとはいえ、敢えてオリンピック開催に踏み切った日本の苦しみは、これからが正念場です。

２０２１年7月２９日　　　　　　　　　手　術

　清瀬・複十字病院の一階、手術室の脇の親族待合室に入ったのは午前１０時前です。先客のご婦人が一人。ご主人の肺がん摘出手術が、もう、始まっているとのこと。従妹久美子の乳がん摘出手術は１０時３０分から始まりました。

　二時間後、呼び出しがあり、手術室前に待機していると執刀した、既に馴染みになっている武田医師が、手術着のまま、何やら二つの塊をキャリヤーに載せて現れました。「手術は無事終わりました。幸い転移はありません」と言いつつ、二つの肉の塊を指差しました。ビニールに包まれていましたが、血が滲んで、ところどころ黒ずんでいるが、さっき迄、従妹の胸にあったものです。色が変わっているのは、もしかすると、ガン化した部位かもしれない、と思いました。そして、武田医師の説明は専門的でよく分からなかったけれど、説明してくれるその声が、極めて明るいので、従妹は、有難いことに、これで命を長らえることが出来たな、と推察しました。しかし、キャリヤーに乗せられて病室へ向かう時の従妹の両眼は、瞬きもせず虚空を見つめたままでした。麻酔が完全に醒めていなかったからでありましょう。＜麻酔が覚めると暴れることがあります。その時は紐で固定させてもらいます＞という承諾書にサインさせられました。今後、病室は一切面会謝絶だそうです。退院通知があるまで、それは厳重に守らねばならない掟のようです。ここにもコロナの悪影響が顕在化していました。

２０２１年7月２８日　　　　　　　　ゴーヤー（苦瓜）

　ユーチューブで「雑誌読み放題」を見ていましたら、ゴーヤーだけを扱った一冊が出ていました。ゴーヤーの栄養価の高さ、その苦みが人体に及ぼす影響、そしてその調理法など、一冊丸々がゴーヤー礼賛の記事や写真で埋まっていました。「困るなあー」というのが正直な気持ちでした。なぜなら、世間がゴーヤーに目覚めると、市場で品薄になり、益々、買いづらくなるからです。ゴーヤーの最盛期は６月から８月にかけてですが冬季間は極端な品薄になります。そういう時は、沖縄の「スーパーサンエイ」のサービスカウンターに電話してダンボールで送ってもらうこともしました。それはともかく、私の朝食はゴーヤーで始まります。一本を縦て切りにしてワタとタネを取り、スライスして、水に戻した桜エビと共にオリーブ油でサッと炒めます。火を通しすぎないことが肝要です。これを三つに小分けし、三日分とします。一か月で１０本、一年で１２０本を消費してきました。１０年以上続いていますから、約１２００本のゴヤーが私の身体を通過していったことになります。

　国内での長寿県は今は長野県などに移ってしまいましたが、かつては沖縄県でした。昆布の消費量が日本一だった沖縄の長寿の元はコンブと豚肉とゴーヤーにあり、と言われていた時がありました。私もそれにあやかったのですが、確かにゴーヤには長寿のための何かがあるのかもしれません。もしかすると、三日で一本の割合でなく、一日一本にしたら、、、、１２０歳までいけるかもしれません。